AMDの新世代CPU「Ryzen 5000シリーズ」向けに提供予定の「Precision Boost Overdrive 2(PBO2)」は、CPUの動作を自動的に調整してパフォーマンスアップや消費電力抑制を行うチューニング技術です。
PBO2はAGESA 1.1.8.0以降を導入したBIOSで利用可能となる技術で、既存のPrecision Boost Overdrive(PBO)の機能を拡張することで、高負荷時のパフォーマンスアップを狙ったオーバークロックチューニングに加え、CPU電圧を引き下げることで消費電力の低下を狙うアンダーボルテージチューニングが可能になるとしています。
BIOSをAGESA 1.1.8.0以降にアップデートすることで、BIOSメニュー内にPBO2の機能設定の項目が追加されます。
PBO2のメインの機能は「Curve Optimizer」と呼ばれるものです。
元々CPUは製造上性能のバラつきがあります。ですが、性能のバラつきがあっても製品仕様(定格)で確実に動作するようにして出荷されます。
この機能は、CPUの個体の性能のバラつきによるマージン部分を引き出すことを目的としています。PBO2のCurve Optimizerは「Undervoltage」でコアの電圧を下げる設定を行うことで、AMDが資料で示している「CPU温度」「パッケージ電力」「VRM電流」のCPU動作耐性の三角形内で性能を引き出せるようになっています。
PBO2は手軽に性能や電力効率をチューニングできる技術ですが、PBO2の実行は定格動作外の動作となるため、PBO2によって生じたトラブルは、手動でのオーバークロックと同じように製品保証対象外となります。これは既存のPBOも同様です。
定格外の動作となるため実行にはユーザーの責任が問われることにはなりますが、PBO2は性能を高めたい人だけでなく、ムダな電力消費を削減したい人にとっても興味深い技術です。
英語ですが、AMDが配信しているPBO2の解説ムービーも参考にしてみてください。