自作パソコンは複数のPCパーツを組み合わせることで完成します。組み立て作業は簡単なようにも思えますが、配線の見栄えも考慮しながら組み立てれば、当店のBTO組み立てスタッフでも1時間程度は掛かってしまいます。たくさんのストレージを搭載したり、小型筐体にたくさんのパーツを組み込むような場合、もっと多くの時間がかかることもあるでしょう。
さて、それなりの時間と労力を掛け、見栄えもいい自作パソコンが組みあがったものの、いざ電源を投入してみるとなぜかうまく起動しない……という状況が発生するとどうなるでしょう。
組みあがったパソコンがうまく動作しないなら、ケーブルやパーツを脱着しながら、動作不良の原因を探らなければならなくなってしまいます。この作業は、スペースの限られたPCケース内で行うのは苦労を伴います。なにより、せっかくきれいに組みあがったパソコンを分解しながら原因探しをするのはつらいものです。
そこでおすすめしたいのが、パーツをPCケースに組み込む作業を行う前に、基幹パーツをケース外で仮組みして行うテストです。基幹パーツとは以下の通りです。
・CPU
・CPUクーラー
・メインメモリ
・マザーボード
・ビデオカード(CPU内蔵GPUが無い場合は必須)
・電源ユニット
上記のパーツを組み合わせれば、少なくともUEFI(BIOS)画面までは起動が可能となります。この状態でUEFIメニュー画面が表示されること、また、UEFI上でCPUやメモリが正しく認識されていることを確認することで、各パーツが起動不良の原因となるような初期不良を抱えていないことを確認できます。
余裕があるなら、ストレージデバイスなども仮組みして認識することを確認しておくことで、完成した自作パソコンが動作不良に陥った際に、パーツの初期不良を疑う手間を省くことができます。
ただし、注意していただきたいのは、仮組状態では部品をむき出しの状態で動作させるため、通電中に金属製のネジやドライバーなどで不用意に接触すると故障の原因となる点です。
当然ながら、導電性のある金属製の机上にマザーボードをむき出しのまま置いたりすれば、ショートして故障の原因となります。マザーボードの下にはマザーボードを収めていた化粧箱を敷いたり、当店で販売しているPC用テストボードを利用するなどして、パーツのショートを防ぐ必要があります。
また、一定以上のグレードのマザーボードであれば、仮組状態でテストするために電源ボタンを実装している場合もありますが、これがなければ、仮組したPCの電源を投入するにはマザーボード上のフロントパネルピンヘッダのPower Switch端子を短絡させる必要があります。これをドライバーの先端などで行うのはリスクが高いため、PCケースと電源スイッチコネクタだけ接続して利用したり、別売りのテスト用スイッチを購入して使用すると良いでしょう。
近年は自作PC向けパーツの製造技術と品質管理技術も向上しており、初期不良に遭遇する機会は少なくなりつつあります。ただ、どんなパーツでも初期不良の可能性はゼロではなく、そのパーツを複数組み合わせるパソコンでは、パーツ点数が多くなるほど初期不良に遭遇する可能性は増加します。
余計な手間に感じる方もおられるかもしれない仮組みテストですが、組み立て後に原因不明の動作不良という困った状態に陥った際の手間を考えると、仮組みテストは価値のあるひと手間であると言えるでしょう。
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