今回は、Intel製CPUの世代やプラットフォーム毎の特徴を解説するとともに、次世代を含めた今後の展望をご紹介します。年末から年初にかけてIntel製CPUを使った自作PCの構築をお考えのお客様は、ぜひご参考になさってください。
●Intel CPUの世代とマイクロアーキテクチャ
CPUには基本の設計となるマイクロアーキテクチャが存在し、現在のIntel製CPUではこのマイクロアーキテクチャを基準にCPUの「世代」が設定されています。直近のCPUの世代とマイクロアーキテクチャ、製造プロセスは以下のようになっています。
第5世代 = Broadwell (14nm)
第6世代 = Skylake (14nm)
第7世代 = Kaby Lake (14nm)
現在、自作PC向けに供給されているIntel製CPUは、メインストリーム向けのLGA1151プラットフォームには第6世代に基づくSkylake-SコアのCPU、ハイエンド向けのLGA2011-v3プラットフォームには第5世代に基づくBroadwell-EコアのCPUとなっています。
最新鋭となる第7世代のKaby Lakeについては、自作PC向けとしては未登場ですが、ノートPC向けの省電力モデルがすでに登場しています。Kaby LakeはSkylakeをベースに改良を加えた設計なので、同一動作クロックのSkylakeに対する性能向上度合いはそこまで大きいわけではないようです。
●CPU世代だけではない、ハイエンドとメインストリームの違い
CPUのマイクロアーキテクチャが新しいほど、動作クロックあたりの性能や電力対性能比が高くなっていきます。このため、基本的には新しいマイクロアーキテクチャのCPUを選択することは、性能面や消費電力の面で有利になるのですが、現在のIntel CPUのラインナップは、メインストリームとハイエンドでCPUコア数での差別化が図られており、これがマイクロアーキテクチャの違いよりも大きな性能差をもたらしています。
▼LGA1151 …… メインストリーム向け
・CPUアーキテクチャ:Skylake(第6世代)
・CPUコア数2~4コア
▼LGA2011-v3 …… ハイエンド向け
・CPUアーキテクチャ;Broadwell(第5世代)
・CPUコア数6~10コア
基本的に、CPUコア数の多いハイエンド向けのLGA2011-v3は、動画やCGの制作のようにマルチコアCPUをフル活用するクリエイティブな用途に強く、コア数は少ないものの最新アーキテクチャや動作クロックの高い製品が多いLGA1151は、ゲームなどで高い力を発揮すると言われています。
ただ、最近はオープンワールド系のゲームをはじめとして、マルチコアに最適化したゲームタイトルも増えつつあり、動画編集の分野ではメインストリームCPUが内蔵するハードウェアエンコーダを活用することもあり、先の傾向に当てはまらないこともあるようです。また、当然ながらメインストリームの方が安価であるという価格的な不均衡も、両製品を選択する上で重要な要素となるでしょう。
●各プラットフォームの今後の展望と選び方
ハイエンドプラットフォームのLGA2011-v3については、次世代CPUではCPUソケットの変更が予定されていますが、現在のところ後継となる新プラットフォームの登場時期については判然としていません。今後しばらくは、現行のLGA2011-v3とBroadwell-Eがハイエンド向けの選択肢となるでしょう。
LGA1151については、現行のソケットのまま次世代のCPUに移行が予定されています。最近、マザーボードメーカーはLGA1151対応マザーボードに対して「次世代のCPUに対応する」という内容のUEFIアップデートを配信されており、デスクトップ向けCPUにKaby Lakeを採用した次世代CPUが登場する時期が近いことが予想できます。
以上を踏まえ、Intel製のCPUを選ぶ場合、CPUのコア数がパフォーマンスに繋がる用途なら迷うことなくLGA2011-v3。コア数より1コアあたりの性能がパフォーマンスに繋がる用途なのであればLGA1151ということになりますが、新しいもの好きを自負される方であれば、次世代のLGA1151を待ってみても良いかもしれません。
→OVERCLOCK WORKSのLGA2011-v3をベースとしたBTO PC
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