IntelのLGA2066とAMDのSocket TR4が登場し両メーカーのハイエンドプラットフォームが出揃いました。今回は、両プラットフォームのCPUの仕様を確認しながら、その特徴をご紹介します。
シングルスレッド性能も優秀なIntelのハイエンドCPU
IntelのLGA2066プラットフォーム向けのCPUは、4コアのKaby Lake-Xと、6~10コアのSkylake-Xが登場しており、今後Skylake-Xには12~18コアの製品が登場予定です。
既に登場しているCPUは、クロック当たりの性能に優れるSkylake/Kaby Lakeアーキテクチャをベースにしていることに加え、いずれもTurbo Boost動作時のCPUクロックが4GHzであるため、優れたシングルスレッド性能を実現しています。これにより、コア数の多い製品でもマルチスレッド性能とシングルスレッド性能を両立しています。
ゲームから動画・CG制作のようなクリエイティブな用途まで、幅広い用途で安定して高いパフォーマンスを発揮するのがKaby Lake-XとSkylake-Xの魅力です。
選択の際に注意が必要なのは、CPUのモデルによってPCI Express 3.0 レーン数やメモリチャネル数などが異なっている点です。これにより、マザーボードが備える拡張スロットやメモリスロットに利用制限が生じている場合があります。
マルチスレッド性能特化のRyzen Threadripper
Socket TR4プラットフォームで展開されるRyzen Threadripperは、現在のところ12コアと16コアの製品が発売済みで、今後8コア製品が追加予定です。
Ryzen Threadripperは一つのCPUパッケージに2つのCPUダイを封入することで、最大16コアという多コア構成を実現しており、非常に高いマルチスレッド性能を実現しています。また、64レーンものPCI Express 3.0をCPUに統合しているため、グラフィックカードやPCI Express接続のSSDなどを多数接続できます。
現時点ではCPUコアの数でIntelのCore i9を凌駕しているため、動画やCGのレンダリング処理などではライバルを上回るパフォーマンスを発揮します。また、CPUのPCI Express 3.0レーンに多数のデバイスを直結できる仕様は、高速なストレージ性能が快適性につながるクリエイティブな用途に適しています。
一方、2つのCPUダイを封入した仕様のため、アプリケーションによっては十分なパフォーマンスを発揮できない場合もあり、ゲームなどでは今一つ性能が発揮できていないケースもあるようです。アプリケーションとの相性を改善する動作モードを用意されていますが、切り替えには再起動を必要とするなど、処理によって得手不得手があります。
なんでもこなせるIntelと、マルチスレッド性能特化のAMD
IntelのLGA2066プラットフォームは、マルチスレッド重視のSkylake-Xモデルでも優秀なシングルスレッド性能を持っているため、用途を問わず高いパフォーマンスが得られます。
一方、AMDのRyzen Threadripperは多少癖のある性能ではあるものの、CPUのマルチスレッド性能やストレージ性能を際限なく必要とする動画やCG制作などの用途では、Intel環境以上に強力なパーツ構成のPCを構築できます。