今回は、Ryzen 9000シリーズ向けの電源選びと題して、電源ユニットを新調される方向けの情報をご紹介いたします。
最上位でも最大200WのRyzen 9000シリーズ
Zen 5アーキテクチャを採用したRyzen 9000シリーズは、定格動作時の消費電力が前世代より低く設定されており、最上位のRyzen 9 9950Xでも電力リミット(PPT)は200Wに設定されています。
ユーザー自らリミットを解除してオーバークロックするとなれば別ですが、一般的なパーツ構成であれば高性能なGPUと組み合わせた場合でも、750~850W程度の電源ユニットを用意すれば必要十分な電力を供給することが可能でしょう。
ハイエンドマシンを構築するならPCIe 16ピンに注目
CPU自体は電源ユニットに多くを求めないRyzen 9000シリーズですが、ハイエンドGPUと組み合わせて強力なゲーミングPCやワークステーションを構築するのに適したCPUでもあるため、PC全体の消費電力は大きくなりがちです。
前述の通り750~850W程度の電源でも高性能なGPUと組み合わせるのに十分ではありますが、最上位級のGPUや次世代ハイエンドGPUと組み合わせることを想定するのであれば、より大容量の電源ユニットが候補に加わります。
そのさいに注目したいのが、12VHPWRや12V-2x6と呼ばれるPCIe 16ピンコネクタの有無と仕様です。
最大で600Wの電力を供給できるPCIe 16ピンですが、その供給能力には4段階の電力リミット(150W/300W/450W/600W)が用意されており、どのリミットに対応しているのかは電源毎に異なります。最上位級のハイエンドGPUと組み合わせを念頭に置くならば、600W対応のPCIe 16ピンを備えた電源ユニットを選んでおくのがお勧めです。
ちなみに、電源ユニット側の12VHPWRと12V-2x6には互換性があるため、どちらであっても特に問題はありません。12VHPWRと12V-2x6の主な違いは「センスピンへの電力リミットの割り当て」と「カード側コネクタのセンスピン長の変更」で、前者は「150W」の割り当てが変更となっているため電源側にも影響し得るものでしたが、変更時点で150Wの12VHPWRコネクタが市場に存在せず、300W/450W/600Wの割り当てに変更がなかったため、電源側の12VHPWRと12V-2x6は実質的に同じものと考えて差し支えありません。
電源ユニットは過剰に大容量の製品を選んでも性能が向上するわけではないため、必要十分な容量と機能(コネクタ)を確保するのが基本です。必要十分な容量と機能を確保したうえで予算に余裕があるのであれば、長期的な運用や将来のアップグレードに対応できる余裕を確保すると良いでしょう。