かつて、自作PC向けのWindowsといえば「DSP版」でしたが、Windows 11時代のいま、DSP版を積極的に選択する理由は無くなりつつあります。今回はDSP版Windowsの現状について紹介します。
DSP版Windowsとは
一般向けにOS製品として販売されているフルパッケージ版(FPP版、または通常版、パッケージ版とも)のWindowsが、購入したユーザーに対してライセンスを付与する形態であるのに対し、DSP版は同時購入したPCパーツ、またはプレインストールされたPCなどハードウェアに対してライセンスが付与されるという違いがあります。
このライセンス形態の違いにより、フルパッケージ版は異なるPCへOSライセンスの移行が可能(同時使用は不可)であるのに対し、DSP版は同時購入したハードウェアとセットで利用する必要があるという制約が存在します。
また、DSP版Windows 11の製品サポートはシステムビルダーが提供するものであるため、マイクロソフトのOSに対する無償の製品サポートは提供されません。(Windows Updateなどは利用可能です)

安さという優位性が失われたDSP版Windows
DSP版のWindowsはフルパッケージ版に比べ制約が多いのですが、そんなDSP版Windowsが人気を博していた理由は価格の安さにありました。
単品販売が許可されていないDSP版Windowsですが、PCパーツと同時購入しさえすればフルパッケージ版より1万円程度安く入手することが可能であったため、ライセンス上の制約を考慮に入れても圧倒的にコストパフォーマンスが高い選択肢だったのです。
ところが、現行のWindows 11では、DSP版とフルパッケージ版の価格差はほとんど無くなっており、費用的にDSP版を選択する利点がほとんどなくなりました。
さらに、DSP版のインストールメディアがレガシーなDVD-ROMであるのに対し、フルパッケージ版は汎用性の高いUSBメモリとなっていることもポイントです。光学ドライブ非搭載のPCが標準的な現在、フルパッケージ版の方が便利であることは間違いないでしょう。
以上の通り、かつて自作PCの定番であったDSP版Windowsはコスト面のメリットを失い、フルパッケージ版に対する優位性がほぼなくなっているのが現状です。これからPCを自作される方は、この現状を踏まえたうえでOSの購入をご検討いただければと思います。
なお、DSP版にもかかわらず単品で安価に売られている製品は非正規品の可能性が高く、仮にインストールできなくてもMicrosoftのサポートは受けられません。Amazonでは製品名の下のブランド名が「マイクロソフト」以外の場合は、製品概要をよく確認する必要があります。
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