マザーボードメーカーはメモリの動作リスト(QVL)を公開していることがあります。
ASUS X99-AIIのQVL(リストはメーカー製品ページより)
ですが、このメモリリストはマザーボード発売当初はひとつの購入目安となりますが、発売から半年~1年以降はあまり当てにならなくなります。
●理由1:メモリのICチップの進歩
ICチップは技術が進むにつれて新しい製品になっていきます。必然的に同じメモリの型番でも新しいICチップに移行していきます。ICが違えば、異なる特性になるため、厳密に言えば動作検証をやりなおす必要があります。ですが初期に行われた動作検証の結果がアップデートされることはほとんどありません。ICチップが変わっても、メモリメーカーはほとんど公表することがないからです。またマザーボード発売時に古いロットのメモリでの検証が掲載されていることもあり、この場合マザーボードのQVLは最初から当てになりません。
●理由2:ICチップの調達の変化
標準クロックのメモリはICチップの選択幅も多いため、その時に安く調達できたICチップが使われます。そのため同じメモリの型番でも異なるICチップが使われることがあります。「先週入荷したものとICチップが違っているなぁ」と思うことは多いです。違うメーカーのICに変わった場合は、標準スペックは満たすものの、スペック外の特性は異なったものになっています。こういったケースで稀にマザーボードとの相性がでることがあります。
●理由3:テストメモリの供給方法
マザーボードメーカーのメモリリストには市場では手に入らないものも多く掲載されています。メモリメーカーがマザーボードメーカーにメモリを供給し、動作テストした結果がこのリストです。中にはES(エンジニアリングサンプル)的なメモリを供給していたりするので、これらはほぼ市場に出回りません。でもリストを制作する段階では市場での調達のことまでは考慮に入れるのは不可能なため、エンドユーザーには手に入らないメモリも掲載されているのです。
以上のような理由からマザーボードメーカーのメモリリストを鵜呑みにしてメモリ製品を選ぶのはちょっと危険です。ですがQVLにはメモリを動作させるためのTipsも掲載されていたりするので、もしメモリがうまく動作しない場合は目を通してみるといいかと思います。
一方、メモリメーカー側にもQVLがあります。G.Skillは製品ページにマザーボードの動作確認リスト(QVL)を載せています。マザーボードメーカーのQVLがメモリのリストであったことに対し、メモリメーカーのQVLはマザーボードのリストです。メモリを選ぶ際にはこのリストのほうが参考になります。特にハイクロックのメモリはマザーボードによっては動作が難しいので、このリストでチェックするのは意味があります。
といっても先ほどの異なるICチップが使われるという問題は同様にありますし、動作するマザーボードでもG.Skillが掲載しない限りわからないというデメリットはあります。実際、リスト外でも動作するマザーボードはたくさんあります。
ちょっと細かいことを紹介しましたが、実際は相性で動作しないというケースは少なく、むしろ買い間違いで動作しないということが多いと思います。もし製品選びでわからないときは当店のメモリコンシェルジュをご利用ください。
※Facebookページに「いいね!」お願いします。