現在のIntel製CPUは、LGA1151とLGA2011-v3、2つのCPUソケットで提供されています。今回、それそれのプラットフォームの特徴を改めてチェックしながら、選びどころを紹介したいと思います。
●最新設計のCPUが使えるLGA1151
Intel LGA1151プラットフォームは、Intelがメインストリーム向けに製品を展開しているプラットフォームです。自作PC向けには、Intel最新のSkylakeアーキテクチャを採用した第6世代Core プロセッサーがラインナップされています。
LGA1151向けの第6世代Core プロセッサーでは、最大で4基のCPUコアを持つ製品がラインナップされており、最上位には4コア8スレッドCPUのIntel Core i7-6700Kがラインナップされています。Skylakeアーキテクチャは、Intel製CPUの中で最も「クロックあたりの性能」が高く、ゲームなどの用途で特に高いパフォーマンスを発揮します。
また、DirectX 12対応のGPUコアをCPUに統合しており、マザーボード側の画面出力端子からディスプレイと接続することで、ビデオカードなしでの画面出力が可能です。
スペックから見えない部分では、シンプルな機能と設計が功を奏してか、起動が高速なマザーボードが多いのも特徴で、さまざまな場面で軽快な動作も魅力。2017年に登場予定の第7世代Core プロセッサー「Kaby Lake」もLGA1151に対応予定で、現行のマザーボードもUEFIのアップデートにより対応が予定されています。
▲モバイル向けは出荷が始まっているIntel第7世代Coreプロセッサー。ディスクトップ向けは2017年の予定。
●10コアCPUが利用可能なLGA2011-v3
Intel LGA2011-v3は、ハイエンド向けのプラットフォームに採用されているCPUソケットで、10コア20スレッドCPUを頂点とする第5世代Core プロセッサー「Broadwell-E」がラインナップされています。
LGA1151には存在しない6~10コアという多コアCPUが利用できるほか、メモリもDDR4クアッドチャンネルに対応しており、最大で8本のメモリモジュールを搭載することが可能です。
Broadwellアーキテクチャに基づくCPUコアは、LGA1151のSkylakeアーキテクチャに比べ、クロックあたりの性能で僅かに劣るものの、コア数の多さでマルチスレッド対応アプリケーションでの高いパフォーマンスを実現します。また、CPUにはGPUコアを統合していないものの、最大で40レーンのPCI Express 3.0をCPUに統合しているため、複数の拡張カードを広帯域で利用できるのもポイントです。
ハイエンドプラットフォームとして、ワークステーション向け製品をそのまま一般消費者向けに引っ張ってきたようなLGA2011-v3は、大量のメモリとCPUの並列処理によるパフォーマンスが魅力のプラットフォームです。
ただし、LGA1151製品と比べ、初期化手順に時間を要するためか起動は遅めで、CPUクロックもLGA1151最上位のCore i7-6700Kに比べると低いため、並列性の低い処理や動作の軽快性については、LGA1151が有利な場面もあります。また、LGA2011-v3プラットフォームは、Broadwell-E以降の次世代CPUで利用される予定は、今のところありません。
●まとめ
LGA1151プラットフォームは、最大4コアまでの範囲で多数のCPUを安価にラインナップし、統合GPUを使ってPCのトータルコストを抑えることもできるため、コスト重視から性能重視まで、幅広いユーザー層にフィットする製品群を擁しています。
一方のLGA2011-v3プラットフォームは、CPUの並列処理能力、大容量かつ広帯域なメインメモリ、最大40レーンのPCI Express 3.0による拡張カードのサポートなど、パワーに特化した製品群となっています。
どちらが良いかは使い方次第ではありますが、LGA2011-v3が得意とする並列処理能力に特化した性能を必要とするか否かで判断するのがシンプルな選び方でしょう。多くのユーザーにとっては、LGA1151の上位製品を選択することが、ベターなチョイスになるかと思われます。