M.2スロットに対応したSSDは、従来の2.5インチSSDより省スペースでPCに組み込めるほか、PCI Express接続でNVMeに対応した製品であれば、SATA接続のSSDより高いパフォーマンスが期待できます。
ただ、自作PC向けのM.2スロット対応SSDとして、もっとも一般的な80mm長のカードであっても、その大きさは20mm×80mmと非常に小さく、SSDのコントローラチップやフラッシュメモリの発熱を十分に放熱できるヒートシンクを搭載するスペース的な余裕はありません。このため、M.2対応SSDでは発熱による温度上昇がパフォーマンスに影響する場合があります。
●熱による制約を受けるM.2対応のNVMe SSD
M.2対応SSDの中でも、特に高いパフォーマンスを持つNVMe対応SSDの場合、発熱による温度上昇の影響は深刻であり、過昇温によるSSDの破損を防ぐための熱保護機能(サーマルスロットル)が作動し、データの転送速度が一時的に低下するという現象が発生します。
パフォーマンスの高いM.2対応SSDをリリースしているサムスンによれば、シーケンシャルリードテストにおいて、熱保護機能が作動するまでにフルパフォーマンスで動作するのは、950 PROで63秒、最新鋭の960 PROで95秒とされています。
ですがベンチマークテストを除いて、常にM.2対応SSDのパフォーマンスをフルに引き出すという場面はそう多くありません。確かに発熱による昇温はM.2対応SSDのパフォーマンスを制限してしまいますが、システム用SSDとして利用する分には、必要以上に心配する必要はないのかもしれません。NVMe SSDはSATA接続SSDに比べ、非常に高速なので、発熱で多少パフォーマンスが落ちたとしても十分な速度で動作しているといえます。
一方で、映像編集用PCにおけるソースフッテージとして利用する場合のように、常時安定した転送速度が必要な用途もあります。そのような場合、いかにしてSSDを冷却するかということになります。
おすすめNVMe SSD
●240GBモデル
Apacer NVMe SSD 240GB (AP240GZ280-1)
●480GBモデル
Apacer NVMe SSD 480GB (AP480GZ280-1)
●SSDの発熱への対処法
もっともシンプルで効果的な冷却方法は、冷却ファンによってSSDに直接風を当てて冷却するという方法です。ただ、多くのマザーボードにおいて、M.2スロットは拡張スロット付近に配置されており、冷却ファンでの送風が難しいという現実もあります。
もう一つの手段は、SSDを冷却するための大型ヒートシンクを備えたM.2スロット増設カードを利用するというものです。当店でも取り扱ったAqua Computer kryoM.2のように、PCI Express x4スロットに接続するタイプの製品を用いれば、M.2対応SSDをしっかり冷却することができます。
ただ、ここまで来ると、M.2対応SSD以外を選択することを考えてみてもよいかもしれません。Intel SSD 750 シリーズや、Plextor M8PeY シリーズのように、もともと大型のヒートシンクを搭載した拡張スロットタイプのNVMe対応SSDも発売されており、長時間にわたって高いパフォーマンスを発揮し続ける必要がある用途では、M.2タイプより拡張スロットタイプのSSDが適していると言えるでしょう。
省スペースで高いパフォーマンスを発揮するからこそ、熱による制約も存在するM.2対応SSD。期待通りのパフォーマンスが発揮できるように冷却するか、用途によっては異なるタイプの製品を選択するなど、その特性をよく理解して選択することが重要となりそうです。
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