自作PCの知識

新規格「PCI Express 4.0」の使い道とは

 第3世代Ryzenの登場により、同CPUが対応するPCI Expressの最新世代「PCI Express 4.0(PCIe 4.0)」が利用可能となりました。今回はこの新世代のPCIeがどのようなシーンで活用できるのかご紹介します。

PCIe 3.0の2倍の転送レートを実現する「PCIe 4.0」

 PCIe 4.0は、1レーンあたり16Gbps(2GB/s)の転送レートを実現しており、これは現在普及しているPCIe 3.0(8Gbps)の2倍に達しています。

 24レーンのPCIe 4.0をCPUに備える第3世代Ryzenは、AMD X570チップセットとの組み合わせでのみPCIe 4.0を利用できます。同チップセットとの組み合わせでは、グラフィックカード用に16レーン、NVMe SSD用とチップセット接続用に各4レーンを活用しており、これとは別にAMD X570も最大16レーンのPCIe 4.0を提供可能です。

PCIe 4.0を有効活用する方法は?

 PCIe 4.0は、今年7月の第3世代Ryzenの登場によって利用可能となったばかりの規格であるため、現在のところ対応デバイスの選択肢は限られています。

 グラフィックカードはPCIe 4.0を利用できる数少ないパーツのひとつで、AMDの最新GPUである「Radeon RX 5700シリーズ」を搭載したグラフィックカードが、PCIe 4.0 x16接続に対応しています。
Radeon RX5700
 しかし、グラフィックカードはPCIe 3.0でも帯域を使いつくすということの少ないパーツであり、Radeon RX 5700もPCIe 4.0 x16であろうとなかろうと、ゲーム性能においては大きな差が生じることは無いでしょう。

 現時点でもっとも、PCIe 4.0の恩恵が得られるパーツはNVMe SSDです。既にPCIe 4.0 x4接続のNVMe SSDが販売されており、これらはリード性能で5GB/sに迫る転送速度を実現しています。

 5GB/sという数字は、帯域幅が4GB/sのPCIe 3.0 x4では絶対に実現できない速度であり、このように高速なSSDを利用することで、PCIe 4.0を有効に活用することが可能です。

次世代インターフェイス用の拡張カードでの普及に期待

 現時点では有効に活用する術が限られるPCIe 4.0ですが、近い将来登場する高速なインターフェイスを拡張カードで容易に増設できる可能性がある点も魅力であると言えます。

 例えば、1レーンで16Gbpsを実現できるPCIe 4.0は、今後普及が期待される10 Gigabit Ethernet(10GbE)を1レーンで賄えますし、PCIe 4.0 x4があれば20GbpsのUSB 3.2 Gen 2x2を複数同時にフルスピードで動作させられます。

 こうした次世代のインターフェイスを提供する拡張カードが登場するようになれば、PCIe 4.0の価値もより大きなものとなるでしょう。

-自作PCの知識