Rocket Lake-SことIntelの第11世代Coreプロセッサでの自作をお考えの方向けに、電源ユニットを選ぶ際のポイントをご紹介いたします。
TDPでは計れないピーク消費電力
CPUの消費電力を知るための指標として長らく使われてきたのがTDP(Thermal Design Power=熱設計電力)なのですが、最近のCPUは定格動作を超える「ブースト動作」に対応しているため、定格動作での発熱量≒消費電力の指標であるTDPから、その最大消費電力を知ることはできなくなっています。
Rocket Lake-Sの場合、最上位にして新しいブースト機能「ABT(Adaptive Boost Technology)」に対応するCore i9-11900K(F)のTDPは125Wですが、ABT動作中は最大で250W以上の電力を消費します。
また、TDP 65Wモデルであっても、電力リミットを緩く設定しているマザーボードと組み合わせた場合、最大で200W弱の電力を消費する場合があります。
実際にどれほどの電力を消費するのかは、マザーボードの電力リミット設定とCPUのスペックに依存することになりますが、ABT対応の最上位モデルについては300W、それ以外の製品でも200Wほどの電力を消費する場合があることを前提に電源選びをすることをおすすめします。
CPU出力が2系統以上の電源ユニットがおすすめ
Intel 500シリーズチップセットを搭載するミドルレンジ以上のマザーボードでは、ブースト動作によって大電力を消費する場合のあるRocket Lake-Sに備えるため、4pin+4pinCPU給電用の電源コネクタを複数系統備えている場合があります。
2系統の4pin+4pinCPU電源コネクタを備えたマザーボードの多くは、1系統のみの接続でも動作させることは可能ですが、2系統で接続した方が安定した電力供給が可能になります。
特に、Core i9-11900K(F)でのABTの利用や、オーバークロック動作をお考えの方には、2系統のCPU電源コネクタを標準で備えている電源ユニットがおすすめです。
おすすめの電源容量は……
以上を踏まえたうえで、Rocket Lake-S用の電源ユニットとしておすすめできる電源容量は、ミドルレンジクラスのGPUと組み合わせる場合は750W、300W級の電力を消費するハイエンドGPUとの組み合わせでは850W以上となります。
このクラスの容量であれば、1万円前後から80PLUS GOLD認証電源が購入できますし、ここ数年以内に発売されたモデルの大半がCPU電源コネクタを複数系統備えているので、Rocket Lake-Sに好適かつ費用対効果の高い電源ユニットが選べます。
この容量を参考にして、大量のHDDを搭載される方や、オーバークロックに挑戦される方などは、その分電源容量の増量をご検討ください。