AMDの次世代CPU「Ryzen 7000シリーズ」の概要が発表されました。今回は現時点で判明しているRyzen 7000シリーズの特徴を紹介いたします。
5nmプロセスで製造されるZen 4ベースのCPU「Ryzen 7000シリーズ」
AMDのRyzen 7000シリーズは、5nmプロセスで製造されるZen 4アーキテクチャベースのデスクトップ向けCPUです。製造プロセスとアーキテクチャを一気に刷新するRyzen 7000シリーズでは、従来のSocket AM4に代わるCPUソケット「Socket AM5」が新たに採用されます。
従来のRyzen 5000シリーズ同様、CPUコアとIO機能を異なるダイに分離する「チップレットアーキテクチャ」を採用しており、CPUコアを実装したCPUダイ(CCD)を5nmプロセスで製造する一方、IO機能を備えるIOダイ(IOD)は6nmプロセスで製造されます。
シングルスレッド性能が15%向上するというZen 4アーキテクチャ
1基のCCDにいくつのCPUコアが内蔵されているのかは明言されていませんが、Socket AM5向けのCPUはCCDを最大2基搭載可能とされているほか、発表時に16コアモデルのデモンストレーションが行われたため、現行のRyzen 5000シリーズよりコア数が減るということは無さそうです。
新設計の「Zen 4」については、CPUコアあたりのL2キャッシュ容量が従来の2倍となる1MBに増量されたほか、5GHzを超える動作が可能となることで、シングルスレッド性能は従来より15%向上するとされています。
GPUが内蔵されるIOD、PCIe 5.0やDDR5もサポート
CPU以上に改良されたと言っても過言ではないのがIODで、新たにRDNA2アーキテクチャベースの内蔵GPUが統合されるほか、PCIeはGen 5.0、メモリコントローラもDDR5対応に強化されています。
RDNA2アーキテクチャを採用するとはいえ、IODに内蔵できる程度の規模のGPUコアであるため、ゲーム性能などが期待できるほど強力なGPUである可能性は無さそうですが、ビデオカードを用意しなくても画面出力が可能なRyzen CPUが登場することになるようです。
最新規格であるPCIe 5.0は、最大24レーン利用可能とされています。ただし、この表記はCPU内蔵PCIe 5.0が合計24レーンという意味です。従来のRyzen 5000も24レーンのPCIe 4.0を統合していると表記されることがあり、その内訳は「GPU用16レーン」+「NVMe SSD用4レーン」+「チップセット接続用4レーン」なので、Ryzen 7000シリーズも同様ではないかと思われます。
新ソケットはLGA方式、TDPは最大170Wに拡大予定
Ryzen 7000シリーズが採用する新CPUソケット「Socket AM5」は、従来のSocket AM4とは全く異なるLGAタイプのCPUソケットで、当然ながらCPUの互換性はありません。
ただし、CPUクーラーについてはSocket AM4対応製品が利用可能とされており、現在までに製品画像を公開しているSocket AM5対応マザーボードには、Socket AM4と同様の樹脂ブラケットが搭載されていることが確認できます。ただし、全てのクーラーが利用できるとは限らないので注意が必要です。
Socket AM5向けのCPUはTDPが最大170Wに引き上げられるとされており、従来のSocket AM4向けCPU(最大105W)よりも発熱や消費電力が大きなものになると考えられます。