パーツの選び方 自作PCの知識

【2022年夏版】オールインワン水冷クーラー導入時の注意点

 組み立て済みの水冷ユニットに冷却水が充填された状態で販売されているオールインワン水冷クーラーは、CPUの冷却を手軽に水冷化できる製品です。

 今回は、自作PCにオールインワン水冷クーラーを導入するさいに注意すべきポイントを紹介いたします。

導入できるオールインワン水冷クーラーはケースの搭載能力次第

 完成品の水冷ユニットとして販売されているオールインワン水冷クーラーの多くは、冷却水の充填などのメンテナンスが不要な一方、DIY水冷のようにラジエーターなどのパーツや水冷チューブを交換してカスタマイズすることもできません。

 したがって、オールインワン水冷クーラーを導入する場合は、そのクーラーがPCケースに搭載可能なスペックかどうかを確認する必要があります。

ファンステイと搭載可能なラジエーターサイズに要注意

 オールインワン水冷クーラーは、基本的に「ヘッド」「チューブ」「ラジエーター」の3パーツで構成されています。PCに組み込むさいには、ヘッドをCPUソケット、ラジエーターをPCケースのファンステイに固定します。

 ヘッドのCPUソケットへの取り付けは、対応ソケットを間違わない限りほぼ問題が起きることはありませんが、ラジエーターのファンステイへの取り付けについては、ラジエーターサイズとケース側の仕様をよく確認すべきです。

 オールインワン水冷クーラーのラジエーターサイズは、搭載可能な冷却ファンのサイズで表記されるのが一般的です。例えば、240mmラジエーターは120mmファン×2基、280mmラジエーターは140mmファン×2基と言った形です。

 ここで注意しなければならないのが、ラジエーターサイズと実際の寸法は異なるという点です。240mmラジエーターと呼ばれるものには、冷却ファンの搭載スペースの他に水冷チューブの接続箇所などが設けられているため、120mmファンを横に2個並べた240×120mmよりも大きな面積を占有します。

 このため、PCケースが120mmファンを2基横並びで搭載できるファンステイを備えていても、ファンステイ周辺のクリアランスが不十分な場合は240mmラジエーターは搭載できないという場合があります。

 最近では搭載可能なラジエーターサイズをスペックに表記しているPCケースも増えてきていますので、お使いのPCケースが購入を検討しているオールインワン水冷のラジエーターサイズに対応しているのかを事前によくチェックしておきましょう。

見落としがちなラジエーター + 冷却ファンの厚み

600x600_Glacier_One_240T30_03
▲38㎜厚のラジエーターと、30㎜厚のファンを搭載する「Phanteks GLACIER ONE 240 T30」

 先述の通り、ファンステイが搭載できるラジエーターサイズの確認は重要なのですが、見逃しがちな要素がラジエーターと冷却ファンの厚みです。

 一般的には、冷却ファンとラジエーターサイズの厚みは25mmが標準的ですので、ケースがラジエーターを搭載可能としているファンステイは、多くの場合25+25=50mm程度の厚さに対応できるスペースが用意されています。

 一方、最近では冷却性能を高めるため、25mmよりも厚い冷却ファンやラジエーターを搭載したオールインワン水冷クーラーも登場しており、このような製品を使用する場合はケース側のスペースが不足する可能性があります。また、オールインワン水冷クーラー自体は取り付けできたとしても、ケースのフロント側に取り付けると、搭載可能なビデオカードの最大長が制限されるなど、他のパーツの搭載能力に影響が出る場合もあります。

 導入を検討しているオールインワン水冷クーラーのスペックを確認し、25mm厚よりも分厚いラジエーターや冷却ファンを採用している場合には、取り付け予定のファンステイ周辺に分厚い水冷クーラーに対応できるスペースがあるのかを確認しましょう。

大型ケースで利用する場合はチューブ長にも注意

 オールインワン水冷クーラーを大型のPCケースに組み込む場合、ファンステイとCPUソケットの距離が大きく離れている場合があります。このようなケースでは、ファンステイがラジエーターを搭載できたとしても、チューブ長が足りずにオールインワン水冷クーラーが取り付けられないという場合があります。

 この問題は、ケースのフロント部分や底面に設けられたファンステイにラジエーターを取り付けようとしたときに起こりがちです。オールインワン水冷クーラーはチューブを交換して長くするということができませんので、クーラー側のチューブ長とケースの寸法をよく確認しましょう。

-パーツの選び方, 自作PCの知識