パーツの選び方

CPUクーラーのトレンドを紹介(2023年7月版)

 暑さが本格的になってきました。今回は、2023年7月版の「CPUクーラーのトレンド」を紹介いたします。

人気のAIO水冷クーラーはイルミネーションとケーブルが進化

 2023年現在、もっとも流行しているのは簡易水冷と呼ばれることもあるAIO水冷クーラーです。

 近年のデスクトップ向けCPUの上位製品は、IntelもAMDも高発熱なCPUが揃っていることもあり、240mmサイズ以上の高性能なAIO水冷クーラーが人気を博しており、各メーカーのラインナップも充実しています。

 数年前から、水冷ヘッドや冷却ファンにRGB LEDを搭載してイルミネーションを楽しめる製品がリリースされていましたが、最近では水冷ヘッドに液晶ディスプレイを搭載することで、より自由度の高いライティングを楽しめる製品も登場しています。単にCPUを冷却するだけでなく、PCの内装を彩るパーツのひとつとしても、AIO水冷はより存在感のあるパーツとなりつつあります。

 また、最新のトレンドとして、AIO水冷をリリースする各メーカーの多くが、冷却ファンの電源やRGB LEDのケーブルをよりシンプルに接続できるよう改善を進めており、ファンやLEDのケーブルを着脱可能なモジュラー化したり、デイジーチェーンで接続できるようになりつつあります。これはPCを組み立てる際の配線をより簡単かつスマートにできるので、多くの方にとってメリットのある改良です。
pro_artist_aio5
▲ヘッド部に水温表示が可能なProArtist / GRATIFY AIO5 Black

世代交代が進む低価格サイドフロー型空冷クーラー

 冷却性能を求めるユーザー向けにAIO水冷が流行する一方、5,000円未満で購入できる空冷CPUクーラーについても世代交代が進んでいます。

 以前はこのクラスは「サイズ 虎徹 Mark II」が定番モデルとなっていましたが、直接の後継となる「サイズ 虎徹 Mark III」や、新定番として高い評価を獲得している「DeepCool AK400」など、エントリークラスの新製品が続々と登場しています。
kotetsu3
▲サイドフロー空冷の定番「サイズ 虎徹 Mark III」

 これらの製品は、200W超の電力を消費する上位CPUのフルパワー動作を冷やしきるのは厳しいところですが、一般的なゲームのように140W以下で動作するような状況であれば十分な冷却を行うことができるため、ミドルレンジ以下のCPUとの組み合わせや、CPUの特性と性能を必要とする用途をよく理解した上で組み合わせれば、AIO水冷クーラーよりも大幅にコストを抑えることができます。

「冷やしきる」ことだけにこだわらないCPUクーラー選び

 現代のCPUは、必ずしも最大負荷時にサーマルスロットリングが発動しないレベルまで冷やせなければならないという訳ではありません。

 多くの方にとって、上位CPUが備える全てのCPUコアをフル活用するシチュエーションは減りつつありますし、上位CPUは全CPUコアを使い切らない条件でも下位モデルを上回る性能を発揮する場面も多くあります。ご自身が性能を必要としている場面で、CPUが十分な性能を発揮できる温度まで冷やせれば十分であると考えることもできるでしょう。

 そのうえで、とにかく冷却性能を追求するのか、イルミネーションやビジュアルを重視するのか、はたまた配線のスマートさを求めるのかは各自の価値観次第です。コストとクーラーの特性を天秤にかけながら、CPUクーラーを検討してみてください。

-パーツの選び方