今回は、AMD Ryzen 8000Gシリーズ製品のスペックを紹介します。
Zen 4×RDNA 3、最新世代のデスクトップ向けAPU「Ryzen 8000G」
Ryzen 8000Gシリーズは、AMD最新のデスクトップ向けプラットフォーム「Socket AM5」に対応するAPUです。
Zen 4系のCPUコアとRDNA 3ベースのGPUコアを組み合わせたRyzen 8000Gシリーズは、TSMCの4nmプロセスで製造されていることから、ベースとなっているのはモバイル向けのRyzen 8000シリーズであることが伺えます。
現時点で発売済みのRyzen 8000Gシリーズ製品は4モデルですが、もっともグレードの低いRyzen 3 8300Gは組み込み向けのみの出荷とされています。製品ラインナップとスペックは以下の通りです。
上位と下位で全く異なるシリコンを採用
4モデルが存在するRyzen 8000Gですが、上位2モデルと下位2モデルは全く異なるシリコンを採用しています。
Ryzen 5 8600G以上の上位2モデルは、Zen 4ベースのCPUとRDNA 3ベースのGPUコアを備えているほか、AI演算用のNPU「Ryzen AI」を搭載。APU内蔵のPCIe 4.0は合計20レーン(チップセット接続用で4レーンを使用)を提供可能です。
一方、Ryzen 5 8500G以下の下位2モデルは、Zen 4とZen 4cを組み合わせたハイブリッド構成のCPUを採用しており、RDNA 3ベースのGPUを搭載してはいますが4コアと小規模なRadeon 740Mで、NPUのRyzen AIは非搭載となっています。また、APU内蔵のPCIeレーンは合計14レーン(チップセット接続用で4レーンを使用)までしか提供できません。
なお、Zen 4cとはZen 4の機能を維持しつつ実装面積を縮小した設計のCPUコアです。CPUコアとしてはZen 4に準じる性能を有していますが、面積を縮小した影響で高クロック化が困難になっているため、Zen 4コアよりも動作クロックが低く設定されています。
AV-1エンコーダーも備えるRDNA 3ベースのGPU
Ryzen 8000Gが採用するGPUはRDNA 3アーキテクチャをベースにしており、Ryzen 5 8600Gは8コア、Ryzen 7 8700Gは12コアと、内蔵GPUとしては規模の大きいGPUコアを備えていることもあり、ある程度ゲームを楽しめる性能を発揮することが期待できます。
また、RDNA 3ベースのGPUは、AV-1のハードウェアエンコードに対応したメディアエンジンを備えています。これまで、AV-1のハードウェアエンコードを行うには、AMDのRadeon RX 7000シリーズ、NVIDIA GeForce RTX 40シリーズ、Intel Arc Aシリーズなど、最新のGPUを別途用意する必要がありましたが、Ryzen 8000Gシリーズなら単体でAV-1のハードウェアエンコードが可能となります。
マザーボード側の対応状況に注意
興味深いスペックのRyzen 8000Gですが、購入の際には組み合わせるSocket AM5対応マザーボードの仕様に注意すべきかもしれません。
まず、Ryzen 8000G対応BIOSが提供されていることが必須条件ですが、Ryzen 8000Gシリーズは内蔵PCIeがGen 4までの対応で、なおかつ上位モデルで合計20レーン、下位モデルは合計14レーンまでの提供となっており、PCIe 5.0を合計28レーン提供可能な既存のSocket AM5対応CPU(Ryzen 7000シリーズ)と明らかに仕様が異なります。
このため、CPU内蔵PCIeと接続しているPCIeスロットやM.2スロットなどは利用できない、あるいはレーン数が制限されるなどの影響が出るものと考えられます。どのような動作になるのかはマザーボードの仕様次第ですので、Ryzen 8000Gを購入する前に、マザーボード側の対応状況を確認されることをおすすめします。