取り付けるだけでCPUの水冷が可能になるオールインワンタイプの水冷クーラーは、手軽にPCを水冷化できる冷却ユニットです。
従来のオールインワン水冷クーラーは「メンテナンスフリー」であることをプッシュしていました。これは、冷却液が流れるチューブやフィッティング(継手)に液体や気体が透過しにくい素材を利用して封止することで、冷却液の蒸発による減少を抑え、冷却液の交換や追加の必要を排したことを意味していました。
ところが、近年発売された新型のオールインワン水冷クーラーの中には、冷却液の追加が可能な製品や、汎用性のあるフィッティングを採用することで拡張性を持った製品が存在しています。
このような製品では、減少した冷却液の補充や交換、ラジエーターやウォーターブロックの追加による拡張といった、初期のオールインワン水冷ユニットでは「メンテナンスフリー」の代償に利用できなかった、「水冷」ならではのメンテナンスと拡張が可能になっています。機種としては
LEPA LPWEL240-HF
http://www.lepatek.com/eng/product_content/31/1/76/
Fractal Design Kelvin S24
Swiftech
などがあります。
このような製品を利用することは、メンテナンスを行う手間をかければ、常に十全な冷却液の量を維持できる点や、2基以上のCPUやGPUの冷却を一元化できるといったメリットがあります。
一方、「寿命」という観点からみると、ウォーターブロックにポンプを内蔵しているオールインワン水冷ユニットの場合、冷却液の維持ができたとしても、ポンプの寿命が製品寿命と直結しています。冷却液のメンテナンスが可能であることは、性能の維持という点でメリットになりえますが、全体としての寿命を大きく伸ばすものとはならないでしょう。
汎用フィッティングの採用で拡張性があるタイプのオールインワン水冷クーラーなら、ウォーターヘッド内蔵ポンプが故障した後でも、外部にポンプを設置するなどして延命することは可能です。
オールインワン水冷クーラーの利点は手軽に水冷を導入できる点にあると思います。メンテナンスができるのとできないのとでは大きな差がありますが、いずれにしてもオールインワン水冷クーラーが消耗品であるという点を念頭に置きつつ、寿命という点については、メンテナンス性よりも「製品保証年数」に重きを置いた製品選びする考え方もあります。