今回はIntelのメインストリームプラットフォームとハイエンドプラットフォームの違いについて、チップセット機能の違いという観点で確認してみます。
●チップセット自体の機能的に違いはほとんどないZ370とX299
2017年11月末現在のIntel製チップセットは、メインストリームプラットフォーム「LGA1151」向けの「Z370 チップセット」と、ハイエンドプラットフォーム「LGA2066」向けの「X299」が存在しています。
両チップセットで対応するプラットフォーム(=CPUソケット)が異なるということは、当然利用できるCPUも異なります。LGA1151対応のZ370は第8世代Coreである「Coffee Lake-S」が利用できる一方、LGA2066対応のX299では4コアの「Kaby Lake-X」と6~18コア「Skylake-X」が利用できます。
対応CPUの違いは両チップセット最大の違いです。他にはSATA 6Gbpsポートの数の違いや、CPU内蔵グラフィックス機能の利用可否という違いもありますが、X299 チップセットを搭載したマザーボードではVirtual RAID on CPU(VROC)というRAID技術が利用できます。
これは厳密にはチップセットの機能ではなく、X299チップセットを搭載したマザーボードに備えられた機能で、CPUに統合されたPCI Express 3.0レーンに接続したSSDでRAIDボリュームを構築する技術です。
VROCを利用することで、CPUとチップセット間のDMIバスの制約を受けることなく高速なRAIDボリュームを構築できます。ただし、RAID 0以外のRAIDレベルを利用するには、専用のハードウェアキーを別途購入する必要があります。
●チップセット自体の機能より、対応CPUとマザーボードの実装に注目
もともと使えるCPUが違うという点で大きく異なるZ370とX299ですが、CPUとDMI3.0バスで接続された「ハブ」であるという点には違いはなく、サポートしているインターフェースもほとんど変わりません。従って、チップセット自体の機能差を気にする必要はないようです。
VROCやCPU内蔵グラフィックスという各プラットフォーム独自の機能もありますが、実際にどの機能が利用できるのかはマザーボードの実装次第となります。チップセットという単位ではなく、組み合わせ可能なCPUや、マザーボードに実装されている機能に注目してマザーボードを選ぶと良いでしょう。