CPUを冷却する「CPUクーラー」は、新しくPCを自作する方や、夏に向けてPCの冷却強化をお考えの方にとって重要なパーツであると同時に、良く調べ、きちんと取り付けないと上手く使えないことのあるパーツです。
今回はそんなCPUクーラー選びの失敗例をご紹介します。同じ轍を踏まないための反面教師として参考にいただければと思います。
空冷クーラーとPCケースが干渉する(製品選びの失敗)
空冷タイプのCPUクーラーで特に多い失敗のひとつが、ケースのシャーシとCPUクーラーが干渉してしまって取り付けられないというものです。
最近は「対応CPUクーラーの高さ上限」をスペックとして公開しているPCケースも多く、これを参考にしてCPUクーラーを選べば問題を回避できる場合が多いですが、マザーボードの上空にHDDや光学ドライブが被ったりするケースでは、こうしたパーツとCPUクーラーの干渉が生じる可能性もあるので要注意です。
空冷CPUクーラーとメモリスロットやPCIeスロットが干渉する
大型の空冷CPUクーラーの場合、マザーボードのレイアウトによってはメモリスロットやPCIeスロットの上空にCPUクーラーが被るため、メモリや拡張カードが利用できないことがあります。
32mm以上の高さのあるメモリモジュールを利用する場合や、CPUソケットとPCIeスロットの距離が近いマザーボードでは特にこの問題が起こりやすいので要注意です。使用したいCPUクーラーとマザーボードの型番の組み合わせで検索して、組み合わせ事例を探してみるのがおすすめです。
PCケースにラジエーターが固定できない
近年人気のオールインワン水冷クーラーは、CPU周辺のスロットなどと干渉問題が少ない一方で、ラジエーターとPCケースに取り付けられないことがあります。
例えば、「240mmラジエーター」という場合120mmファンが2基搭載できるラジエーターという意味で、ラジエーター自体の寸法は240mmファン×2基よりも大型です。
最近のPCケースはラジエーター取り付けを前提にスペースを確保していますが、設計が古いケースではファンが取り付けられる分だけのスペースしか無い場合が少なくありませんので要注意です。
グリスの塗り忘れ、保護シートのはがし忘れ
CPUクーラーがCPUの熱を効果的に受け取るには、接地面に生じる隙間を埋めるサーマルグリスが必要です。
IntelやAMDのCPUに付属する純正CPUクーラーなどでは最初から接地面にサーマルグリスが塗布されていますが、単体販売されている空冷CPUクーラーなどの場合、小袋やシリンジに入ったグリスを自分で塗布する必要があります。
また、単体販売されているCPUクーラーの多くは、輸送時に接地面に傷がつくのを防ぐため保護シールが貼られており、これをはがさないまま取り付けてしまうと本来の冷却性能を発揮できません。
CPUクーラー接地面の保護シートを必ずはがし、サーマルグリスを適量塗布して利用しましょう。
リテンションキットの取り付けミス
CPUクーラーは、製品ごとに様々なリテンションキットを使ってCPUソケットへ取り付けます。このリテンションキットの取り付けを誤ると、本来の冷却性能を発揮できないばかりか、クーラーの脱落などによりパーツを破損する危険があります。
典型的な例としては、Intel製CPUの純正クーラーなどに採用されたプッシュピンで、かえしの部分が穴に収まっていない状態でピンを差し込んでしまったり、マザーボード上に土台を組むタイプのリテンションキットで部品の向きを逆につけてしまうなどです。
単体販売されているCPUクーラーの多くには図解付きの取扱説明書が同梱されているので、よくマニュアルを確認して作業を進めましょう。