PCI Express(PCIe)は汎用性の高い高速な通信バスとして、グラフィックカードやSSDの接続などにも利用されるなど、現代の自作PCにおいて非常に重要度の高いインターフェイスの一つです。
今回は、Intelの各プラットフォームにおいて、PCIeがどのように提供されているのかをチップセット毎にご紹介いたします。
●CPUとチップセットから提供されるPCIe
自作PC向けに提供されているIntelのプラットフォームには、ハイエンドデスクトップ向けの「LGA2066」と、メインストリーム向けの「LGA1151」があります。
これらのプラットフォームでは利用可能なPCIeのレーン数に違いがありますが、PCIeがCPUまたはチップセットから提供されるという点は共通しています。
一方、チップセット側のPCIeコントローラにより提供される「チップセット PCIe」は、NVMe SSDや、比較的低速なインターフェイスコントローラの接続に用いられるものです。チップセットに接続されたPCIeデバイスと通信をする場合、「CPU―チップセット接続」を経由してのアクセスとなるため、最大速度は「CPU―チップセット接続」の速度が上限となります。
●LGA2066向けチップセットでのPCIe
LGA2066向けのチップセットはIntel X299のみとなっており、チップセット側のコントローラは合計24レーンのPCIe 3.0を提供します。
一方で、CPU側のコントローラが提供するPCIe 3.0のレーン数はCPUによって異なっており、最上位のCore i9シリーズでは「44レーン」、Skylake-XベースのCore i7では「28レーン」、Kaby Lake-XベースのCPUでは「16レーン」となっています。
マザーボードでの実装では、多くの場合CPUのPCIeは拡張スロットに割り当てられており、CPU側のPCIeが少ないほど、利用できる拡張スロットの数や接続レーン数が少なくなっています。
●LGA1151向けチップセットでのPCIe
LGA1151向けチップセットには、Z370を頂点にH370、B360、H310の4種類のチップセットが用意されています。
CPU毎にPCIeレーン数が異なっていたLGA2066と違い、LGA1151向けCPUは全て16レーンのPCIe 3.0を提供するため、どのCPUを選んでも利用できるPCIeレーンの数に違いはありませんが、4つのチップセットはそれぞれ提供するPCIeのレーン数や世代が異なっています。
CPU側のPCIe 3.0 x16は基本的にグラフィックカード接続用の拡張スロットに利用されるため、NVMe SSD用の拡張スロットやM.2スロットはチップセット側のコントローラにより提供されます。
上位のチップセットほど多数のPCIeレーンを提供できるため、上位チップセットを搭載したマザーボードでは、複数のM.2スロットなどを備えています。