1月上旬に開催されたCES 2019にて、AMDから次世代デスクトップ向けCPU「Ryzen 3000 シリーズ」についての発表がありました。今回はCESにて発表された次世代CPUについての情報をご紹介します。
●新アーキテクチャ「Zen2」を採用するRyzen 3000 シリーズ
AMDの次世代デスクトップ向けCPUとなる「Ryzen 3000 シリーズ」では、新たなCPUマイクロアーキテクチャである「Zen2」を採用し、CPUコアの製造プロセスも現行の14nmから7nmに微細化されます。
現在のRyzenが採用するZen+アーキテクチャが、その前のZenをマイナーチェンジしたものであったのに対し、Zen2はモデルチェンジに相当する改良が加えられています。特に大きなトピックが、CPUコアとIO部の分離設計の採用と、PCI Express 4.0のサポートです。
現在のRyzenでは、1つのシリコンダイ上に、CPUコアの他、メモリコントローラやPCI ExpressなどのIO機能を統合しています。これがZen2ベースのRyzen 3000 シリーズになると、CPUコアとIO機能は別のシリコンダイで実装される形に変更され、CPUダイは7nm、IOダイは14nmで製造されます。これは主に製造コストを抑えるための設計です。
CPUコアと分離したRyzen 3000 シリーズのIO機能では、新たにPCI Express 4.0がサポートされます。PCI Express 4.0は、現行のPCI Express 3.0と同一レーン数であれば2倍の転送速度を実現するインターフェイスです。今後、PCI Express 4.0対応するビデオカードやNVMe SSDが登場すれば、各機器とのデータ転送速度の向上が期待されます。
●既存のSocket AM4対応マザーボードで利用可能なRyzen 3000 シリーズ
内部設計的にはかなり大幅な変更が行われるRyzen 3000 シリーズですが、CPUソケットについては引き続きSocket AM4を採用しており、既存のSocket AM4マザーボードでもUEFIのアップデートが提供されれば利用可能とされています。
もっとも、既存のSocket AM4対応マザーボードの多くはPCI Express 4.0をサポートしていないため、Ryzen 3000 シリーズの性能をフルに引き出すには、PCI Express 4.0をサポートする新設計のマザーボードが必要となるでしょう。
●Ryzen 3000 シリーズはCore i9-9900Kより省電力で高性能?
CES 2019では、Ryzen 3000 シリーズのエンジニアリングサンプルを用いたデモが行われ、それによれば定番CPUベンチマークのCINEBENCH R15において、Intelの8コアCPUであるCore i9-9900Kを凌ぐスコアを記録し、その際の消費電力はRyzen 3000 シリーズの方が小さかったようです。
詳細なスペックが不明なエンジニアリングサンプルを使用したデモではありますが、アーキテクチャと製造プロセスを一新するRyzen 3000 シリーズへの期待が膨らむ結果ではあります。
Ryzen 3000 シリーズは2019年の中頃に投入される予定とされています。既にRyzenを利用している方にとっても乗り換える価値のあるCPUとなりそうなRyzen 3000 シリーズ、その登場はまだしばらく先の話のようですが、今後の情報にも期待しましょう。