各地で夏日や真夏日が記録された今年5月末の猛暑は、6月を前にして夏の訪れを感じさせる出来事でした。気温の高まる夏は、発熱源を複数内蔵するPCにとっては冷却関連のトラブルが起きやすい季節でもあります。
今回は、最近の自作PCにおける冷却関連パーツのトレンドや選ぶ際のポイントをご紹介します。本格的な夏の到来前に、現在の冷却システムの強化を検討してみてはいかがでしょうか。
CPUクーラーはオールインワン水冷タイプの選択肢が増加
ここ数年のIntelとAMDのCPU競争により、ハイエンドプラットフォームでのコア数増加とメインストリーム上位製品のブースト時発熱の増加は、CPUクーラーの冷却性能に対する要求を高め続けています。
その結果、CPUクーラーの上位モデルは240mm以上ののラジエーターを搭載したオールインワン水冷が人気を博しており、新作PCケースの多くがそういった大型のオールインワン水冷の搭載に適したレイアウトを採用しています。
TDPが130Wを超えるようなCPUやオーバークロックでの運用を検討されるのであれば、240mm以上のラジエーターを搭載したオールインワン水冷クーラーの利用が推奨されます。
Core i9-9900KやRyzen 7 2700Xなどのメインストリーム上位CPUまでであれば、定格で利用する分には120mmファンを搭載した空冷CPUクーラーや、120mm~140mmサイズのラジエーターを搭載したオールインワン水冷でも冷却は可能です。
イルミネーション対応製品の増加したケースファン
近年は高度な発光制御に対応したRGB LEDの普及により、ケースファンもLEDイルミネーション対応製品が増加しています。イルミネーション用アクセサリーとしてケースファンを搭載するのも今や珍しくはありません。
一方で、ケースファンが担っているPCケース内の換気はパーツ冷却において重要であることには変わりありません。ケース内の換気が不十分だと高性能なCPUクーラーもCPUを冷却できない場合があります。
ケース内の換気が十分であるのかを確かめる簡単な方法は、PCケースのサイドパネルなどを一時的に外して動作させてみることです。この状態でCPUやGPUが十分に冷却できているにも関わらず、パネルを閉じるとサーマルスロットリングが発生するような場合、ケースの換気が不十分であるということになります。
ケースの換気能力が不十分な場合は、吸気と排気のバランスがなるべく揃うようにケースファンの増設や交換をすると、効率的な換気が行えるようになります。
▼参考記事
・ケースファンをうまく使えばメンテナンスも楽になる?
・PCケースを効果的に換気するケースファンの使い方
LEDイルミネーションやマザーボードとのコラボモデルで好みの見た目に
ケースファンの節でも触れましたが、最近の冷却パーツはLEDイルミネーション機能を備えた製品も増え、マザーボードブランドとデザインを共通化したコラボモデルなどが登場しています。
LEDイルミネーション機能の制御規格をマザーボードと揃えたり、マザーボードコラボモデルのCPUクーラーを搭載すれば、見栄えのよいPCを作ることができるでしょう。見た目にこだわって作ったPCには愛着がわくものですし、特に内部のパーツが見えるガラス張りのPCケースなどでは内装のデザインも重要です。
ただし、見た目へのこだわりは、十分な冷却が行えることが前提です。この優先順位だけは忘れないよう意識しつつ、なるべく自分の理想に近い見た目のパーツを揃えましょう。