AMDのRyzenはメモリクロックと内部バスの動作クロックがリンクするという仕様上、高クロックメモリとの組み合わせが好まれる傾向にありますが、こうしたメモリを選ぶ際に気になるスペックの一つが「メモリタイミング」ではないでしょうか。
今回は、高クロックメモリで数字が大きくなりがちなメモリタイミングが何を意味するものなのかをご紹介します。
メモリの「レイテンシ」を示すメモリタイミング
メモリタイミングとは、メモリのスペックにおいて「16-16-16-36」や「18-22-22-42」のような数字で表記されているもので、これはメモリアクセス時に生じる遅延時間(レイテンシ)をクロック単位で表記したものです。
メモリタイミングの中でも代表的なのが先頭の数字である「CASレイテンシ」で、メモリアドレスの列を指定してからデータ転送が開始されるまでのレイテンシを示しており、他のタイミングを省いて「CL16」や「CL18」のように表記している製品もあります。
メモリタイミングの単位は「クロック」。実際の遅延時間はメモリクロック次第
メモリタイミングは単位がクロックですので、CL16のメモリであれば16クロック分の時間が生じるということになります。このため、メモリタイミングが同じCL16であっても、メモリクロックが異なれば遅延する実時間には違いが発生します。
例えば、実クロック1600MHzのDDR4-3200メモリの場合、1クロックの時間は「1秒÷1600MHz」で0.625ns(ナノ秒)ですのが、実クロック1800MHzのDDR4-3600メモリは約0.557nsです。従って、同じCL16であっても実際の遅延時間は、DDR4-3200メモリが10ns(0.625ns x 16)で、DDR4-3600は約8.9ns(0.557ns x 16)となります。
ここで、AMD X570チップセット向けに設計されたDDR4メモリ「Trident Z Neo」のスペックを確認して、実際の製品でメモリタイミングとレイテンシがどのような数値となっているのかを確認してみましょう。
メモリタイミングの数値が最も小さいのは「14-14-14-34」を実現しているのはDDR4-3200/CL14メモリですが、実際の遅延時間は「16-16-16-36」のDDR4-3600/CL16メモリと同程度となっています。
最も低遅延なのがDDR4-3600/CL14であることはイメージしやすいですが、「16-18-18-38」であるDDR4-3200/CL16の遅延時間が、「16-16-16-36」のDDR4-3600/CL16よりも「18-22-22-42」のDDR4-3600/CL18に近いというのは、メモリタイミングの数字だけをみていると分かりにくいところかと思われます。
メモリのレイテンシは小さいほど高速であると言えますが、メモリタイミングにはそれに「同一のメモリクロックなら」という前提条件がつきます。