近年発売されたNVIDIA製GPUの多くは、ハードウェアエンコーダー「NVENC」が利用できます。これは、動画のエンコードをGPU内蔵の専用ハードウェアを用いて行うもので、CPUで処理を実行するソフトウェアエンコーダーより高速にエンコードが実行できます。
このNVENCは、「GeForce RTX 20シリーズ」および「GeForce GTX 16シリーズ」が採用したGPUアーキテクチャ「Turing」世代にて、H.265形式でのBフレームをサポートしました。これにより、CPUを圧倒するエンコード速度に加え、圧縮率も向上したことでNVENCの実用性がさらに高まっています。
Bフレームとは、差分情報だけを保持したフレームで、再生時には手前のフレームと合成することで画像として成立します。これにより、各フレームに画像としての完全な情報を保持するよりも情報量を減らせるため、同じ画質ならより低容量、同じビットレートならより高画質な動画を実現できます。
Turing世代のNVENCは、高品質ではあってもCPUでのエンコードに膨大な時間を必要としていたBフレームを用いたH.265形式への変換を一気に身近なものとしました。動画編集ソフトなども、出力時のエンコードにNVENCを用いるものが増えています。
たいへん実用的になったTuring世代のNVENCは、第7世代(7th Gen)NVENCとも呼ばれており、どのGPUがこれを搭載しているのかは以下のリンク先で確認できます。
Video Encode and Decode GPU Support Matrix(NVIDIA)
https://developer.nvidia.com/video-encode-and-decode-gpu-support-matrix-new
基本的にTuring世代以降のGPUは第7世代のNVENCを搭載していますが、ローエンドのGeForce GTX 1650のような例外も存在しておりますので、NVENC目当てでビデオカードを購入される方は、必ずリストを確認しておきましょう。