数回にわたって、マザーボードのスペックの見方を紹介しています。今回は「LAN機能」の紹介です。
LAN機能とは
LAN機能とは、LANケーブルを用いてネットワークに接続する機能のことで、デスクトップ向けのマザーボードには標準装備されている機能の一つです。無線LANとも呼ばれるWi-Fiに対して、有線LANと呼ばれることもあります。
マザーボードの標準装備であるLAN機能ですが、マザーボードが搭載するコントローラチップ(Network Interface Controller/NIC)によって最大通信速度などに違いがあります。
今回は、最近のマザーボードに搭載されているLAN機能を速度別にご紹介いたします。これらの違いは、スペック表の「LAN」あるいは「Ethernet」と記載された項目で確認できます。
Gigabit LAN(1GbE/1Gbps LAN)
Gigabit LANあるいは1GbEなどと表記されるLAN機能は、1Gbps(1000Mbps=125MB/s)の転送速度を実現するLAN機能です。
1Gbpsという速度は、長らく標準的なネットワーク速度として使われており、標準的なインターネット回線の速度も1Gbpsとなっています。1Gbpsに対応したルーターやハブといった周辺機器も比較的安く入手できます。
マザーボードに搭載された1GbE対応NICとしては、RealtekやIntelのチップが普及しています。Intel製のNICは評判が高く、ミドルレンジ以上のマザーボードで1GbEを搭載するマザーボードには、多くの場合Intel製NICが採用されています。
2.5GbE(2.5Gbps LAN)
2.5GbEと表記されるLAN機能は、2.5Gbps(2500Mbps≒312.5MB/s)の転送速度を実現するLAN機能です。
2.5GbE対応NICは、後述する10GbEに比べ安価で、なおかつ1GbEの2倍以上の速度を実現できることから、ミドルレンジクラスのマザーボードで採用が進んでいます。2.5GbE対応機器で接続しなければ最大速度の2.5Gbpsを出すことはできませんが、1GbE対応機器と接続することで1Gbpsでの通信は可能です。
2.5Gbpsという通信速度は、NASや一部の高速ネット回線の速度を引き出すのに役立ちます。また、同じ1Gbpsのネット回線を利用する場合であっても、NIC自体の性能が高い2.5GbEを利用することでレイテンシを削減できるとされており、ゲーミング仕様のマザーボードを中心に採用が進んでいます。
▲2.5GbEのLANを搭載したマザーボードの例(MSI Z590 GAMING CARBON WIFI)
10GbE(10Gbps LAN)
10GbEと表記されるLAN機能は、10Gbps(10000Mbps=1250MB/s)の転送速度を実現するLAN機能です。
1GB/sを超える高速通信に対応する10GbE対応NICは高価であるため、現状では一部のハイエンドマザーボードにだけ搭載されています。10GbEに対応するネットワーク機器もかなり高価であるため、10GbE環境を整えるにはコストがかかりますが、2.5GbE以下とは一線を画す速度での通信が可能です。
一部地域では、10Gbpsの超高速インターネット回線の提供が開始されており、将来的には10Gbpsが普及するものと思われます。NASとの通信や10Gbps対応インターネット回線の利用を検討されているのであれば、10GbE対応NICを搭載したマザーボードの導入を検討してみるとよいでしょう。