今回は、マザーボードが備える機能の中から、HDDやSSDといったデバイスを接続するためのストレージ機能について、スペックの見方を紹介します。
ストレージデバイスを接続するためのポートやスロット
現代のPCにおける主要なストレージデバイスはHDDとSSDで、マザーボードにはこれらのストレージデバイスと接続するためのポートやスロットが用意されています。
ストレージ接続用のポートやスロットは、チップセットまたはCPUが内蔵するインターフェイス(PCI ExpressやSATA)と接続されているため、同じ見た目のスロットであっても、インターフェイスの転送速度などが異なる可能性があるため、スペック表のストレージ機能欄やマニュアルをチェックして、ポートやスロットの動作仕様を把握しておく必要があります。
M.2スロット
M.2スロットは、複数のインターフェイスに対応するスロット規格で、ストレージ向けには主に「M Key」と「B Key」というタイプのスロットが用いられます。自作PC向けのマザーボードでは、両方に対応したB+M Keyスロットが普及しています。
ストレージ向けに提供されるM.2スロットは、インターフェイスにPCI ExpressまたはSATAを採用していますが、M.2スロットと接続するCPUまたはチップセットの仕様により、PCI ExpressとSATAのどちらかしか使えない場合や、PCI Expressの世代やレーン数が異なる場合がありますので、M.2スロットがサポートするインターフェイスは必ず購入前に確認しておきましょう。
また、M.2スロットには長さの規格も存在しています。一般に普及しているのはM.2 2280(80mm長)のカードサイズで、マザーボードが備えるM.2スロットの多くがこのサイズに対応していますが、一部製品にはより長いM.2 22110(110mm長)や、短いM.2 2242(42mm長)の製品もありますので、使用予定のSSDのサイズとM.2スロットの対応サイズが一致していることの確認も必要です。
なお、一般的にはCPU内蔵のPCI Expressと接続するCPU直結M.2スロットの方が、チップセット接続のM.2スロットより低レイテンシで高速ですが、CPUの世代によって利用できるPCI Expressの世代やレーン数が変わったり、一部のCPUではスロット自体が使えない場合があります。この点についても、スペック欄に記載がある場合が多いので、よく確認しておきましょう。
SATAポート
SATAポートは、SATAケーブルを介してストレージデバイスとマザーボードを接続するためのポートです。現代のPCには、もっとも高速な規格である6Gbps SATA(6Gbps=600MB/s)が採用されています。
SATAインターフェイスは主にチップセットの機能として提供されていますが、AMDのRyzenなどではCPU直結のSATAポートが提供されている場合があります。
多くのマザーボードが4~8ポートの6Gbps SATAを備えており、HDDや2.5インチSSDを複数搭載することができるのですが、一部のポートはM.2スロットやPCI Express拡張スロットと排他利用となっている場合があります。これについてはスペック表から全ての情報を得られない場合があるので、多数のデバイスを利用予定の方は、購入前の時点でマニュアルをダウンロードし、同時利用できるSATAポートの数を確認しておきましょう。