2022年現在、自作PC向けSSD製品の主流はM.2タイプのNVMe SSDとなっており、さまざまな速度の製品が発売されています。今回は、NVMe SSDのデータ転送速度からSSDの特徴や適した用途などを紹介いたします。
基本的には速いに越したことはないSSD
現代のNVMe SSDには、リード速度が2,000MB/sから7,000MB/sの製品がラインナップされています。
これらの速度はマルチキューでシーケンシャルアクセスしたさいの速度であり、ベンチマークテスト以外でこの速度を最大限に発揮できるシーンは限られており、7,000MB/sのSSDが2,000MB/sのSSDより常に3.5倍速いという訳ではありません。
前提としてSSDの速度が速いに越したことはありませんが、高速なSSDほど価格も高価になっていきます。よりよいPCを構築するためには、用途や予算に応じて適当な速度のSSDを選ぶことが重要です。
リード2,000~3,000MB/sクラスのエントリークラスSSD
最大リード速度が2,000~3,000MB/sのSSDは、現代のNVMe SSDではエントリークラスに分類されます。
▲Western Digital WD_GREEN SN350
1TBで1万円前後と安価な製品が多く、TLC方式のフラッシュメモリでDRAMキャッシュを省略したSSDや、QLC方式のフラッシュメモリを採用したSSDが中心です。これらの製品はライト速度=書き込み性能が低い製品が多く、特に大容量ファイルの連続書き込みに弱く、書き換え耐久性(TBW)も低い傾向があります。
大容量データの書き込みに適さない一方で容量単価は魅力的なので、リードが中心で容量への要求が大きいゲームインストール用途や、低価格PCのシステム用ストレージなどに適しています。
リード・ライトが3,400MB/s前後のミドルレンジSSD
リードとライトが最大3,400MB/s前後のSSDは、インターフェイスにPCIe 3.0 x4を採用したTLC方式かつDRAMキャッシュ搭載製品が多く、大容量ファイルの連続書き込み時の転送速度や書き換え耐久性が高い製品が多くあります。
エントリークラスのSSDと比べると容量単価は高くなっていますが、読み書きともに優れた性能を発揮する製品が多く、ある程度予算に余裕があるのであれば、システム用のSSDはこのクラスの製品を選びたいところです。
書き換え耐久性の高い製品であれば、編集を行う写真や動画を一時的に保存する作業用ストレージなどとしても利用にも適しています。
リード5,000MB/s~7,000MB/sクラスのハイエンドSSD
リードが5,000MB/sを超えるSSDは、いずれもPCIe 4.0以上に対応する先進的なSSDであり、特にリードが7,000MB/s前後に達する製品は現状最速クラスのハイエンドSSDです。
▲Western Digital WD_BLACK SN850
これらの製品は、最高クラスの速度を実現するために高性能なSSDコントローラやフラッシュメモリが採用されており、結果として高い書き込み性能や書き込み耐久性を実現した製品が多く存在します。なお、5,000MB/s以上の速度はPCIe 4.0以上を利用しないと発揮できず、PCIe 3.0対応スロットでは3.4~3.6GB/s程度しか速度が出ない点に注意が必要です。
前述の通り最大のリード速度が発揮されるのはベンチマーク以外にほとんどありませんが、GB/s級以上のリード速度を必要とする用途として、RAW形式の動画などを用いた編集作業や、高速なSSD間でのファイルコピーなどがあります。
本格的な動画編集を行う方や、PC内で大容量ファイルを移動する機会の多い方は、予算が許すならPC内のストレージをこのクラスのSSDで統一してみると良いでしょう。