自作PCの知識

ケースファンで変わる自作PCの「エアフロー」

 今回は、自作PCの冷却システムを構築するうえで重要な要素「エアフロー」について考えてみましょう。

PCケース内に生じる空気の流れ

 エアフローとは「空気の流れ」のことで、自作PCでは主にPCケース内に生じる空気の流れを指して「エアフロー」という言葉が良く使われます。

 PCケース内のエアフローは温度差による対流などによっても生じますが、基本的にはPCケース本体にとりつけたケースファンによって能動的に構築するのが基本となります。ケースファンを使って効果的なエアフローをPCケース内に構築できれば、ケース内の換気を効率的に行うことで搭載パーツの冷却と排熱を促進できます。

吸気ファンと排気ファンの組み合わせが効果的なエアフロー構築のカギ

 PCケースにも様々な形状の製品が存在しますが、自作PC向けとしてオーソドックスなタワー型PCケースの多くは、ケースのフロント、トップ、リアにそれぞれ通気口とケースファン固定用のファンステイを備えています。

 自作PCでは任意の場所にケースファンを搭載してエアフローを構築していくわけですが、効率的なエアフローを構築する鍵は、吸気用と排気用のケースファンを組み合わせることにあります。

 例えば、排気ファンのみをケースに取り付けた場合、その排気量に応じてケース各部の通気口やスキマから空気がケース内に流入することで換気が行われます。逆に、吸気ファンのみを取り付けた場合、その吸気量に応じてケース内の空気が通気口やスキマから押し出される形でケース外へと排出されます。

 ただ、吸排気いずれかのファン1基のみで構築されるケース内のエアフローは、空気が通りやすいところに偏る形で生じやすく、ケース全体を効率的に換気出来ない場合があります。

吸排気-h300

 これに対して、吸気ファンと排気ファンを組み合わせた場合、ケース内には吸気ファンから排気ファンに向かう大きなエアフローが生じます。このようなエアフローは周辺の空気を巻き込みながら生じるため、ケース内の換気をより効率的に行うことができるのです。

吸気+排気-h300

 この図はエアフローとケースファンの関係を簡素化したものに過ぎません。実際には吸排気のバランスによって想定していない空気の流れが生じることもありますが、吸気ファンと排気ファンの間にエアフローを生じさせることが、ケース内を効率的に換気するための基本です。

 実際のエアフロー構築に際しては、吸排気のバランスをあえて吸気寄りに崩すことで通気口やスキマからのホコリの侵入を防いだり、複数の静音ファンを組み合わせることで静粛性と換気量を両立したりと様々なテクニックが用いられます。

 ケースの設計によっては基本から外れることが最適解となる場合もありますし、搭載パーツによって必要な換気能力も変わってくるので唯一無二の答えはありません。ケースファンによってどのように空気が動くのかを考えながら吸排気ファンを配置し、効果的なエアフローの構築を目指してみてください。

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