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CPUなしでもBIOSを更新できる?「BIOS Flashback」とは

 今回は、CPUなしでもマザーボードのBIOSを更新できる機能「BIOS Flashback」について紹介します。

BIOSの復旧&更新機能「BIOS Flashback」

 BIOS Flashbackとは、マザーボードのBIOS復旧&更新機能のことで、最近発売されているミドルレンジ以上のマザーボードの多くで採用されています。

ASRockページのBIOS Flashbackのイメージ

 ほかのBIOS更新機能が基本的にPCとして起動する状況でなければBIOSの更新が行えないのに対し、BIOS Flashbackはマザーボードと電源ユニット、そして更新用のBIOSファイルを格納するUSBストレージがあればBIOSの更新を行うことができます。

 CPUなしでBIOSを更新できるということは、近日発売予定のAMD Ryzen 9000シリーズのように、すでに発売済みの従来のマザーボードと互換性を有するCPUが発売されたときに、新CPUが起動可能なBIOSにマザーボード単体でアップデートすることができるのです。この機能が登場するまでは、新しいCPUだけしか持っていない場合には対応BIOSに更新ができず不便でした。マザーボードメーカーは新CPU対応BIOSにアップデートして出荷しているものは対応シールを貼ったりしてわかりやすくしています。

 また、ほかのBIOS更新機能でアップデートに失敗して起動不能に陥ったマザーボードのBIOSを復旧できる可能性もあります。トラブルに強く非常に強力なBIOSアップデート手段であると言えます。

更新の手順は?

 利用方法はマザーボードメーカーごとに異なりますが、基本的には指定の名称にリネームしたBIOSファイルをUSBストレージに格納し、マザーボードのBIOS Flashback対応USBポートに接続。マザーボードに24ピンメインコネクタ(EPS12V 8pinも必要な場合もあります)を接続した状態で、BIOS Flashbackボタンを押すとBIOS更新作業が開始されるという流れになります。

ASUSのBIOS FlashBackのチュートリアル

 繰り返しになりますが、BIOS Flashbackの利用方法はマザーボードメーカーや製品ごとに異なる場合がありますので、必ずマニュアルを確認してから作業を行ってください。またメーカーによって機能の名称が少し異なっていますのでご注意ください。

MSIのFlash BIOS Buttonのチュートリアル

BIOS Flashbackは強力なBIOS更新手段ですが…

 BIOS Flashback機能は便利ですが、使いづらい面もあります。まずUSBストレージが特定のファイルフォーマット(主にFAT32)でなければ利用できないなど制約があります。またBIOS更新の進捗をマザーボード上に実装されたインジケーターLEDの点滅状況で確認することになるのですが、廉価な製品ではインジケーターLEDが見えにくかったり省略されているなどして、進捗状況の確認が難しい製品も存在します。BIOS Flashbackの利用を考慮するのであれば「容量32GB以下でアクセスランプのついたUSBメモリ」をBIOS更新用として用意しておくとよいでしょう。

 メリットとデメリットをまとめると

CPUなしでBIOS更新できるので、新CPU発売時に便利
BIOS更新トラブルで復旧ができることもある

USBのフォーマットに制約がある
BIOS更新中の進捗がわかりにくい

 新CPUと同時に現行マザーボードの購入を検討されている方は、BIOS Flashback機能があるマザーボードを選べば、購入時のBIOSバージョンを気にせず対応BIOSに書き換えることができることを覚えておくといいでしょう。とはいえ、一般的にBIOS Flashback機能の作業性はUEFI上で利用できるBIOS更新機能などよりも悪いので、ほかの手段でBIOSを更新できるのであればBIOS Flashbackよりも優先して利用することをおすすめします。

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