今回は、AMDのデスクトップ向けCPUで採用されており、次世代のRyzen 9000シリーズでも利用可能とされているオーバークロック機能「Precision Boost Overdrive 2(PBO2)」と「Curve Optimizer」について紹介します。
Ryzenの動作をチューニングできるPBO2とCurve Optimizer
最近のAMD製デスクトップ向けCPUは、「Precision Boost Overdrive 2」というオーバークロック機能と、電圧オフセット機能の「Curve Optimizer」に対応しており、これらの機能は次世代CPUであるRyzen 9000シリーズでも利用可能とされています。これらの機能が利用できるか否かは、AMDの製品情報ページでも確認可能です。
PBO2と略されることもあるPrecision Boost Overdrive 2は、AMDのブースト機能であるPrecision Boost 2をユーザーが任意でカスタマイズできる機能です。AMD公式OCツールのRyzen MasterやBIOSで有効化することが可能で、有効にするとCPUの電力リミットや電流リミットが開放され、より多くの性能をCPUから引き出すことができます。
Curve OptimizerはPBO2で導入された機能のひとつで、CPUの電圧制御に用いられるVFカーブ(電圧-クロック)に任意のオフセット値を反映することができます。CPUの電圧マージンを生かして上手くCPU電圧を引きげることができれば消費電力と発熱を減少させることが可能で、それによりサーマルスロットリングの作動を抑制してCPU性能を引き上げられる可能性もあります。
なお、Curve Optimizerについては、次世代CPUのRyzen 9000シリーズで「温度範囲」や「クロック範囲」といった要素を追加した拡張版「Curve Shaper」の導入が予告されています。
製品保証を失効するPBO2とCurve Optimizer、ご利用は自己責任で
PBO2とCurve Optimizerは、複雑なブースト機能が実装されているRyzenでチューニングを楽しむのに有効な手段ですが、これらの機能の利用は手動でのオーバークロックと同じくCPUの製品保証を失う行為であり、チューニング後のCPUが安定して動作する保証もありません。
製品保証の失効についてはどうしようもないところですが、チューニング後の安定性についてはRyzen Masterに実装されているスタビリティーテストや、Cinebenchなどの高CPU負荷テストなど、自身のPC利用の状況に応じたテストを実行することで確認することが可能です。
あくまで自己責任のOC機能ですので万人にお勧めできる機能ではありませんが、PBO2やCurve Optimizerで最適な設定を探求するのも自作PCならではの楽しみであると言えるでしょう。
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