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AMD Ryzen 9000シリーズのメモリ周りのまとめ、および予想

現在AMD Ryzen 9000シリーズのメモリ周りでわかっていることをまとめてみます。

標準クロックがDDR5-5200からDDR5-5600へ

今まで、RyzenシリーズのDDR5の標準メモリクロックはDDR5-5200でした。特にメモリを設定せずDDR5-5200で起動してきます。Ryzen 9000シリーズの標準メモリクロックはDDR5-5600となります。INTELの第13世代、14世代の上位モデルの標準クロックはDDR5-5600ですから、INTELと同じになったことになります。

DDR5-5600になったということは、CPUに内蔵されているメモリコントローラー(以下、メモコン)の性能がアップしたことを意味します。メモリOC領域でもより耐性があがっていることが期待できます。

注意すべきは現状DDR5-5200スペック(またはそれより下のクロック)のメモリで使っていて、CPUをRyzen 9000シリーズにアップグレードした場合です。何もメモリ設定しなかった場合、マザーボードによっては、DDR5-5600で起動してくる可能性があります。その場合は、メモリスペックに合わせてBIOS設定するか、DDR5-5600での安定度の確認をしたほうがいいでしょう。

ハイクロックDDR5-8000の対応

AMDはDDR5-8000のサポートをアナウンスしています。これはメモコン自体はハイクロックでも十分動くと言っていることになります。

その条件として新しいAGESAのバージョンを使うことを挙げています。メモリのパフォーマンス自体は今後のAGESAのバージョンで調整されていくはずですので、BIOSは新しいものを使った方がいいでしょう。

メモリハイクロックでの運用はマザーボード側の耐性も関わってきます。

→「メモリをDDR5-8000動作させるには? ~AMD編~」という記事をアップしていますので、マザー選びの参考にしてみてください。

Ryzen 9000発売時にはAMD X870E/X870マザーは間に合いませんが、現行マザーボードでも十分DDR5-8000は動作可能です。

OTF(On-The-Fly)によるメモリーOC

これはWindows上でメモリ設定をワンクリックで変更できるというものです。

まだ実機は触ってないので出てきている情報からの印象ですが、この機能はPCの実用には特に意味はなく、実験的にPCをいじりたい場合に、有効なツールとなると思います。

メモリクロックやレイテンシーを変更したことで、どれだけPCのパフォーマンスに影響するのかを再起動なしにチェックできれば、メモリの細かい調整をしたい場合に便利です。ただし、この手のツールは必ずしも期待通りに動かないことがあるので、ツールである「Ryzen Maste」rがどの程度完成されているのかが気になるところです。

CPUの発熱と熱による調整機能により、手動でのCPUオーバークロックは下火となっています。その分、メモリで遊んでみたい方にはこのメモリOCツールが使えるのは朗報といえます。

メモリハイクロック動作を目指すなら

メモリのハイクロック動作の肝はマザーボードとCPUです。でもどちらがより重要かといえば、以下になります。

CPU/APUのメモコン耐性 > マザーボードのメモリ耐性

当店のテストや、ハイクロックメモリのテスト販売でのアンケート結果からの予想ですが、AMD環境においてはマザーボードの耐性よりもCPUのメモコン耐性のほうがメモリハイクロック動作には重要と思われます。これはRyzen 5 7600XでDDR5-7000くらいまでしか動作しなかったマザーボードで、Ryzen 5 8600Gに送還したところ、DDR5-8000でも動作したという当店での検証事例からもうかがえます。メモコンがメモリ耐性を左右しているという結果です。

現行ですと、Ryzen 8000GシリーズのAPUが安定してメモコン耐性が高いようです。Ryzen 7000シリーズはCPUのグレードと製造時期によってメモコン耐性にバラツキがあるように思います。マザーボードのメモリQVLで7000シリーズのほうが良い結果が掲載されているのは、テストの際、上位CPUや耐性の良いCPUを使っている可能性があります。Ryzen 7000シリーズはすでに発売から2年近くが経っていますので、初期のころのロットと最近のロットではメモコン耐性に違いが出ていると考えるのが順当でしょう。

ハイクロックメモリの動作が、マザーよりCPUのメモコン耐性に左右されているのであれば、Ryzen 9000シリーズでのメモリのハイクロック動作は比較的容易なはずです。現状Ryzen 7000シリーズを使用している方は、9000シリーズへ乗り換えることで、メモリクロックは上を狙えるでしょう。X670E/X670、B650E/B650マザーでも、Ryzen 9000シリーズを使えば、十分DDR5-7000~8000のレンジでメモリ動作が実現できます。INTELのようにメモリ2スロットの高額マザーでないとメモリハイクロック動作は難しいという高いハードルはなく、AMDでは結構廉価のマザーでも実現できそうです。

ただハイクロックメモリは電圧スペックが高いため、メモリ周辺のエアフローは気にしたほうがいいでしょう。DDR5-7000以上のスペックのメモリを使う場合は、コンパクトケースではなく、ケースにはスペースの余裕を持たせエアフローも確保するようにしてください。

Ryzen用ハイクロックメモリはテスト販売でのアンケートで好評いただいているオリジナルのDDR5-7200、DDR5-8000であれば、AMD EXPO対応で設定も楽です。

設定方法については以下の記事もご覧ください。

また近々、ハイクロックメモリが動作するセット(メモリ+マザーボード)を販売予定ですのでしばらくお待ちください。

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