近年、オープンワールドゲームなどでCPU処理のマルチスレッド化が進んでいますが、今でもPCゲームのパフォーマンスにおいて、CPUのコアあたりの性能は重要な要素です。先日発売されたKaby Lake-Sは、「コアあたりの性能」に関しては最先端を行くCPUであり、ゲーミングPCに適したCPUであると言えます。
今回は、ゲーミングPCに適したKaby Lake-Sと組み合わせるGPUを検討するということで、2017年1月現在のGPUラインナップを確認してみたいと思います。
●ラインナップが完成したNVIDIAと、ミドルレンジまでのAMD
2017年現在、2大GPUメーカーであるNVIDIAとAMDは、それぞれ1xnmプロセスで製造されたGPUを最新製品として投入しています。
Pascalアーキテクチャを採用し、16nm FinFETプロセスで製造されたNIVIDIA GeForce GTX 10 シリーズは、エントリーモデルのGeForce GTX 1050から、ウルトラハイエンドのTITAN Xまでが出揃いました。
一方、AMDはPolarisアーキテクチャを採用した14nm FinFETプロセスのAMD Radeon RX 400 シリーズを投入しており、エントリーモデルのRadeon RX 460からミドルレンジのRadeon RX 480までが発売されています。AMDはハイエンド向けGPUについては、2017年前半中にVegaアーキテクチャに基づく製品の投入が予定されています。
さて、今回は「エントリー」から「ウルトラハイエンド」までの4段階に分けてNVIDIAとAMDのGPUを分類してみました。
「エントリー」のGPUについては、3D性能よりも省電力性や映像エンジンによる動画再生支援やハードウェアエンコードを期待する製品となっており、ゲーム向けのGPUではありません。もちろん、MoBAゲームのような軽量なゲームであれば十分に動かせますが、ミドルレンジのGPUとの間には2倍程度の差があります。
「ミドルレンジ」のGPUは、エントリーのGPUに比べて2倍程度の3D描画性能を持っており、ゲーミング目的でビデオカードを選択するなら、このクラスから検討されることをお勧めします。フルHD解像度でコンシューマゲーム機(PS4やXBOX Oneなど)と同等以上のクオリティでゲームを楽しめるのが、ミドルレンジのGPUです。
「ハイエンド」になると、フルHD解像度であれば各ゲームの最高描画品質での動作が望め、WQHD(2,560×1,440ドット)のような高解像度でもゲームを楽しめるようになります。GeForce GTX 1070であれば5万円前後で購入可能であり、ほぼ同額のIntel Core i7-7700Kと組み合わせれば、優れたゲーミング性能が期待できるでしょう。
唯一「ウルトラハイエンド」に分類したNVIDIA TITAN Xは、GeForce GTX 1080の1.5倍程度の規模を持つ最上位のGPUであり、そのパフォーマンスも最上のものです。ただ、実売価格が20万円近く、販売経路も限られている上、NVIDIAリファレンス仕様のカードでしか供給されていません。
Kaby Lake-SをベースにゲーミングPCを構築する場合、基本的には「ミドルレンジ」か「ハイエンド」に挙げたGPUを選択することになるでしょう。予算と相談しながら、どのグレードのGPUを選ぶかご検討いただければ幸いです。