パーツの選び方 自作PCの知識

【2019年3月編】いまどきの大容量HDDの選び方

最大容量が14TBに達したHDDは、容量単価の安さから現在でも主要なPC用ストレージデバイスとしての地位を保っています。今回は2019年3月時点での大容量HDDの選び方を紹介いたします。
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●用途別に複数の製品シリーズが展開されているHDD
 2019年3月時点で一般ユーザー向けにHDDを提供している企業は数社に絞られていますが、各社のHDD製品は用途毎に異なる製品シリーズを展開しています。

 各社様々な製品シリーズを展開していますが、一般ユーザー向けのHDDについては、もっとも容量単価が安くスタンダードな仕様の「デスクトップ用」、PCユーザーの中でもHDDに性能を求めるユーザー向けの「ハイパフォーマンス用」、24時間365日の連続稼働やRAID構成での利用を想定した「NAS/RAID用」の3シリーズに分けられます。

これに該当するWestern DigitalとSeagaeteの主な製品シリーズは以下の通りです。

Western Digital Seagate
デスクトップ用 WD Blue BarraCuda
ハイパフォーマンス用 WD Black BarraCuda Pro
NAS/RAID用 WD Red IronWolf

 HDDは製品シリーズ毎に部品やファームウェアの仕様が異なっており、想定している用途以外で使うと期待通りの性能が得られなかったり、製品寿命を全うできない場合があります。特に、常時稼働やRAID構成での動作が求められる場合には「NAS/RAID用」のHDDを選ぶのが重要です。

 単純なデータ保管用ストレージとして使うのであれば安価な「デスクトップ用」で十分ですが、OSのインストール先や保存しているデータに頻繁にアクセスするのであれば「ハイパフォーマンス用」を選ぶのがおすすめです。

●本格的な普及期を迎えたSMR技術
 これから大容量HDDを購入するにあたって知っておきたい技術が「SMR」です。

 SMRとはShingled Magnetic Recordingの略で、データを書き込む際にトラックを瓦状に重ねて記録することでディスクプラッタの記録容量を増加させる技術です。

 SMR技術は従来のHDDと同じハードウェア構成で容量を増加させられるため、安価で大容量なHDDを実現できます。ただし、瓦状に重ね書きするという記録方法の都合上、ある程度まとまった単位でデータの書き込みを行う必要があるため、状況によっては書き換え性能が極めて低くなってしまうのが弱点とされてきました。

 しかし、2019年現在では、SMR技術はファームウェアの改良やキャッシュ技術の導入などによって書き換え性能の低さを克服してきており、一般的なデスクトップ用HDDにもSMR技術を採用した製品が登場しています。こうした製品は特にSMR技術の採用をうたっておらず、従来のHDDと同じように利用可能です。

 ただ、SMR技術採用HDDの性能は、従来の記録方式を採用した同世代のHDDより低い傾向にあることは確かです。HDDに性能を求めるのであれば、SMR技術採用製品を避けるという意味でもデスクトップ用ではなく、ハイパフォーマンス用HDDを選ぶとよいでしょう。

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