近年、システムストレージとして利用されることの多くなってきたM.2 SSDについて、製品選びのポイントを紹介します。
NVMe SSDとSATA SSDが存在するM.2 SSD
M.2 SSDとは、M.2スロットに取り付けて利用するカードタイプのSSDのことなのですが、インターフェイスにPCI Expressを用いるNVMe SSDと、Serial ATAを用いるSATA SSDの2種類が存在しています。
現在主流になっているのはPCI Express(PCIe)を用いるNVMe SSDです。同じNVMe SSDであってもPCIe 4.0 x4対応のものや、PCIe 3.0 x2対応のものなど、PCIeの世代やレーン数が異なる製品が登場しています。
一方、M.2型のSATA SSDについては、最速でも6Gbps(600MB/s)というSATA規格の速度が時代遅れになってきたことで需要は低下していますが、2022年現在でも多くの製品が販売されています。
このように、M.2 SSDというカテゴリ内にはNVMe SSDとSATA SSDの2種類が存在する訳ですが、どちらのSSDが利用できるのかは、マザーボードが搭載するM.2スロットの対応インターフェイス次第です。
2022年現在、SATA SSDしか使えないM.2スロットを備えたマザーボードはほとんどありませんが、逆にSATA SSDが使えないM.2スロットは珍しくありません。古いSSDを活かしたいなどの理由でSATA SSDを利用したい場合は、M.2スロットがSATAに対応していることを事前に確認しておきましょう。
M.2スロットがサポートするPCIe世代とレーン数を要チェック
NVMe SSDがインターフェイスに用いるPCIeには互換性があるので、SSDとマザーボードのM.2スロットで対応している世代やレーン数が異なっていても、基本的には動作させること自体は可能です。
ただし、転送速度の上限は、SSDとM.2スロットがそれぞれ対応しているPCIe規格のいずれか遅い方になってしまいます。
例えば、SSD「PCIe 4.0 x4(8GB/s)対応」をマザーボード「PCIe 3.0 x4(4GB/s)対応M.2スロット」に搭載した場合はPCIe 3.0 x4以下の速度でしか動作しません。また、SSD「PCIe 3.0 x4対応」をマザーボード「PCIe 4.0 x2(4GB/s)対応M.2スロット」に搭載した場合、リンク速度は「PCIe 3.0 x2(2GB/s)」になってしまいます。
NVMe SSDの速度をフルに発揮したいのであれば、SSDの対応インターフェイスと同等以上の世代とレーン数を備えたM.2スロットに搭載する必要があります。
インターフェイス規格が同じでも速度や価格、耐久性は多種多様
SSDとM.2スロットのPCIe規格を揃えれば、NVMe SSDの性能をフルに発揮できるようになりますが、実際のデータ転送速度はインターフェイスの上限速度とは別物で、SSD毎に全く異なります。
2022年3月現在、最速級の速度を発揮するPCIe 4.0 x4対応SSDには7GB/sを超える速度を実現したものもありますが、同じPCIe 4.0 x4対応SSDでもローエンド製品は4GB/s以下の速度しか出ない製品も存在します。
これは、使用しているメモリチップやSSDコントローラの性能が異なるためで、違いは速度だけでなく、価格や耐久性(TBW)にも大きく影響します。
M.2 SSD選びで失敗しないためには、製品のスペックについて十分に確認することはもちろんですが、発熱具合や連続書き込み時のパフォーマンスなど、スペックからだけでは見えてこない要素も存在するので、購入を検討している製品についてはメディアやユーザーのレビューも確認して、期待通りの性能を発揮できるのか調査することをおすすめします。