前回のNVIDIA製GPU紹介に引き続き、今回はAMD製GPUの選び方を紹介します。
現行世代のAMD製GPUは、ミドルレンジの「Radeon R7 300シリーズ」、ハイエンドの「Radeon R9 300 シリーズ」、ウルトラハイエンドの「Radeon R9 Fury/Nanoシリーズ」がラインナップされています。
ミドルレンジ
AMD Radeon R7 360E
AMD Radeon R7 360
AMD Radeon R7 370
AMDのミドルレンジGPUであるRadeon R7 300 シリーズは、1~2万円程度で購入できる比較的安価なGPUです。ゲーミング性能としては、フルHD解像度(1920×1080ドット)以下であればそれなりのパフォーマンスを発揮しますが、本格的にゲームを楽しむのであれば上位のRadeon R9 380シリーズからがお勧めです。
Radeon R7 300 シリーズはその低価格と、映像補完技術「AMD Fluid Motion Video」や4K60p出力が可能なDisplayPortなどが利用できる点が魅力です。ただし、Radeon R7 370に関してはFreeSyncをはじめ、利用できない機能がある点に注意が必要です。
ハイエンド
Radeon R9 380
Radeon R9 380X
Radeon R9 390
Radeon R9 390X
ハイエンドGPUのRadeon R9 300 シリーズには、GPUコアの違いによって、Radeon R9 380 シリーズとRadeon R9 390 シリーズの2種がラインナップされています。
下位のRadeon R9 380 シリーズは2.5~3.5万円程度で購入できるGPUで、フルHD解像度でゲームをプレイするのに適した性能を備えています。メモリ(VRAM)容量については2GBと4GBのものが存在しますが、近年のゲームはVRAMの使用量が多いため、なるべく4GBモデルを選択することをお勧めします。
上位のRadeon R9 390 シリーズは8GBの大容量VRAMを備えており、AAA級の大作ゲームや、フルHD解像度を超える高解像度において、高いパフォーマンスが期待できます。価格は4~6万円程度となっており、8GBのVRAM容量を実現した製品としては、比較的安価であることも、このシリーズの魅力です。
ウルトラハイエンド
Radeon R9 Fury
Radeon R9 Fury X
Radeon R9 Nano
ウルトラハイエンドのRadeon R9 Fury シリーズとRadeon R9 Nano シリーズは、最新設計のGPUコアにHBM(High Bandwidth Memory)という非常に高いデータ転送帯域を実現する新世代のVRAMを組み合わせた製品です。
GPUコアの性能はRadeon R7/R9 シリーズ中最も高く、HBMによる高速なデータ転送により、4K(3840×2160ドット)のような高解像度環境できわめて高いパフォーマンスを発揮します。ただし、HBMの容量が4GBと少ないため、VRAM使用量の大きいAAA級ゲームの高解像度設定などでは、VRAM容量不足から十分なパフォーマンスを発揮できない場合もあります。
Radeon R9 Nanoについては、このクラスのGPU製品としては他にないほどコンパクトな基板とGPUクーラーを採用していることから、Mini-ITX環境などにも組み込みやすいという利点があります。うまく活用すれば、非常にコンパクトながら高いパフォーマンスを発揮するゲーミングPCを自作できることでしょう。
ウルトラハイエンドのRadeon R9 Fury/Nano シリーズは、VRAM容量の少なさという癖のある製品なので、その特性をよく理解してお選びいただく必要があります。ゲームでのパフォーマンスを重視するなら、ハイエンドモデルのRadeon R9 380 シリーズ、Radeon R9 390 シリーズは、それぞれ価格相応のパフォーマンスが期待できる製品となっています。