Socket AM4向けCPUのRyzenシリーズにエントリーモデルの「Ryzen 3」が加わり、下位から上位まで一通りRyzenシリーズが出そろいました。今回はRyzenのラインナップを確認しながら、各ブランドの特徴と、その選び方をご紹介いたします。
Ryzen7/5/3の3ブランドで展開されているRyzenシリーズ
Socket AM4向けCPUであるRyzen シリーズは、Ryzen 7、Ryzen 5、Ryzen 3の3ブランドで製品が展開されています。いずれも14nmプロセスで製造されたZENマイクロアーキテクチャベースのCPUで、CPUコア数やL3キャッシュの容量によってブランド分けがされています。
2017年7月末時点で登場しているRyzen シリーズの製品ラインナップは以下の通りです。
Ryzen 7ブランドの3製品は、いずれも8コア16スレッドCPUで、各モデルの違いはCPUクロックとTDPのみの違いとなっています。性能を左右する要素での違いは動作クロックのみなので、単純にクロックの高いモデルの方が高性能ということになります。
Ryzen 5ブランドはやや特殊で、同一ブランド内に「6コア12スレッドCPU」と「4コア8スレッドCPU」があります。また、4コア8スレッドCPUの下位モデルであるRyzen 5 1400ではL3キャッシュ容量も削減されているため、動作クロック以外にも性能を左右するスペックの違いがある点に注意が必要です。
Ryzen 3ブランドはRyzen シリーズで最も安価なCPUで、1コア当たり2スレッドの処理を可能とする「SMT」が無効化された4コア4スレッドモデルです。このため、上位モデルに比べマルチスレッド性能は今一つですが、1万円台という安価であることと、ゲームなどでは上位であるRyzen 5の4コア8スレッドCPUに引けを取らない性能を発揮することもあります。
Socket AM4のトータルコストの安さにも注目
各ブランドの選び方としては、最初からマルチスレッド性能が必要になると想定されているPCにはRyzen 7がお勧めです。よりコストを抑えたいのであれば6コア12スレッドのRyzen 5は良い選択で、たまに動画編集をする程度なら4コア8スレッドのRyzen 5がエントリーモデルとして好適でしょう。Ryzen 3は上位モデルとやや毛色の異なる製品で、より安価にPCを構築したい場合や、ミドルレンジGPUベースの安価なゲーミングPC構築に適しています。
上位のRyzen 7はIntelのハイエンドCPUに匹敵するマルチスレッド性能を持っていますが、そのクラスのCPUを1万円前後の安価なマザーボードで運用できるのが、Socket AM4プラットフォームの魅力です。トータルコストを抑えながら、高いマルチスレッド性能を持ったCPUが利用できるのがRyzenシリーズの魅力であると言えるでしょう。