AMDのRyzenシリーズは、優れたマルチスレッド性能をより安く実現できるのが魅力のCPUですが、自作PCでこそ活用できる特徴として、全モデルがCPU倍率を変更するオーバークロックに対応しているというものがあります。
マザーボードが搭載するチップセットがX370、またはB350である必要はありますが、全モデルがオーバークロック出来るという特性を活用するなら、どの点に注目してRyzenを選ぶべきなのか紹介します。
Ryzenには、Ryzen7/5/3の3ブランドが用意されており、それぞれCPUコアの数やL3キャッシュの数が異なっています。全てのモデルがオーバークロックできるRyzenシリーズで重要なのは、このコアの数とキャッシュ容量など、CPUクロック以外で性能を左右するスペックです。
基本的に、同じアーキテクチャを採用し、同じコア数、同じキャッシュ容量を持つCPUが、同じクロックで動作したのであれば、CPUの性能はほぼ同じになります。これはつまり、CPUクロック以外の仕様が同じであるなら、オーバークロックによって動作クロックを引き上げるだけで、上位のCPUクーラーに追いつき、追い越すことすら可能ということです。
例えば、Ryzen 7 1800XとRyzen 7 1700のスペック差はCPUクロックとTDPのみですので、Ryzen 7 1800X並のクロックまでRyzen 7 1700をオーバークロックできたなら、約2万円高い上位CPUと同等の性能が得られることになります。
●上位モデルを選ぶ意味とオーバークロックのデメリット
オーバークロックを前提とするなら、Ryzen 7 1700のように上位モデルと動作クロック以外の差がなく、一定以上の価格差がある製品はかなりお得な製品ということになります。
ただし、全てのCPU個体が上位製品と同等のCPUクロックまでオーバークロックできる耐性を持っているとは限りませんし、CPU電圧を上げてオーバークロックを行った場合、CPUの発熱と消費電力は上位モデル以上に大きなものとなってしまいます。もちろん、オーバークロックを行うことで、製品保証を失うこともデメリットです。
そういう意味では、製品としてより高い性能を保証されている上位モデルを選ぶ意味は少なくありません。また、オーバークロックするという観点においても、上位モデルは下位モデルよりも高いクロックで製品化できる個体を選別したものであるため、下位モデルよりもオーバークロックの特性に優れている個体が少なくありません。
より安いCPUで上位CPU並みの性能を得るためのオーバークロックなら、CPUクロック以外のスペックに注目し、とにかく性能を稼ぐためにオーバークロックをするのであれば最初から上位モデルを選択すると良いでしょう。