今回は、CPUに冷却装置であるCPUクーラーを取り付ける際に塗布するサーマルグリスについてご紹介します。
サーマルグリスは接地面の熱伝導を補助する役割を担う「サーマルインターフェイスマテリアル(TIM)」の一種で、自作PC向けにはシリコンオイルに熱伝導材料を添加した「シリコングリス」が著名で、熱伝導率の高い銀粒子を添加した「銀グリス」や、非シリコン系オイルを用いたグリスなど、多様な製品が販売されています。
主な用途として、CPUの表面とCPUクーラーの接地面の間に塗布することで、2つの面の間に生じる隙間を埋めて熱伝導を補助します。このサーマルグリスが無いと、2つの面の間に生じた隙間には断熱性の高い空気しか存在しないため、CPUからCPUクーラーへの熱伝導効率が著しく低下し、十分にCPUを冷却できないという事態が生じます。
サーマルグリスには「塗り方」の作法が様々存在しますが、「2つの面の間に生じる隙間を埋める」という目的が達成されるのであれば、どのような塗り方でも大きな問題は生じません。薄く塗りすぎて隙間が生じてしまうぐらいなら、多少厚くても隙間を確実に埋めた方が良いでしょう。
ただし、グリスの塗りすぎは熱伝導以外の部分で問題を引き起こす可能性があります。
現在のCPUクーラーはCPU表面に接地面を強く押し付ける傾向があり、厚めに塗布したグリスはクーラーの圧着により接地個所から押し出されます。あまりにグリスの量が多い場合、押し出されたグリスはCPUソケットやその周辺にあふれてしまい、導電性のあるサーマルグリスであれば動作不良に繋がりますし、導電性が無くても除去が困難です。
適量というのも難しいですが、LGA1151であれば中心部に米粒1つ分ほど、LGA2066でも米粒2つ分もあれば最低限の「量」は確保できます。不足しないことと圧着によって流れ出さないよう、過不足ない量を意識しながら利用すると良いでしょう。