2017年末現在、新たな通信プロトコルであるNVMeに対応したSSDは自作PC市場に浸透しており、一般ユーザー向けには主にM.2タイプの製品が普及しています。今回はそんなNVMe SSDの長所と短所を改めてチェックしてみましょう。
NVMeに対応するSSDは、PCIe接続による高いシーケンシャルアクセス性能もさることながら、4kランダムアクセスや同時アクセスに対するパフォーマンスに優れており、ランダムアクセスや複数のアプリケーションが同時に参照することの多いシステムディスクに適した特性を備えています。
もちろん、高いシーケンシャルアクセス性能を生かし、超高解像度動画向けの素材や動画自体を配置する作業用ドライブとしてのポテンシャルも高く、クリエイター向けアプリケーション用のキャッシュドライブなどにも好適です。
ただし、一般向けとして主流のM.2タイプのNVMe SSDハイパフォーマンスモデルはそのままでは冷却が困難で、ヒートシンクの追加やファンによる送風などの熱対策を講じなければ、カタログスペックのパフォーマンスをフルに発揮できる時間は限られています。
また、容量に対するコストの高さもNVMe SSDの弱点と言え、ゲームインストール用SSDなどにはSATA接続の大容量SSDの方が費用対効果が大きな場合もあります。
優れたパフォーマンスが魅力のNVMe SSDは、ストレージ性能がOSの挙動などに影響を及ぼすシステムディスクに是非とも採用したい特性を持っている一方、熱対策が困難な環境や大容量が求められるゲーム用途などでは2.5インチタイプのSATA 6Gbps製品を選択した方がよい場合もあり、NVMe SSDを選択するかはコストと使い方次第と言えるでしょう。
なお、拡張カードタイプでは数TB級の容量を実現するNVMe SSDや、Intelの次世代不揮発性メモリである3D Xpointを採用した超高耐久NVMe SSDも登場してきており、予算に制限がないのであればNVMe SSDでカバーできる用途は以前よりも広がっています。基本的にストレージが速くても損することはないので、潤沢な予算があるのであれば、拡張カードタイプのNVMe SSDも選択肢に含めてみてはいかがでしょう。