2系統の製品シリーズを展開するNVIDIA
NVIDIAはTuringアーキテクチャを採用した12nm世代のGPUを主力としており、レイトレーシング用のRTコアや機械学習向けのTensorコアを備える「GeForce RTX 20 シリーズ」と、RTコアやTensorコアを省略した「GeForce GTX 16 シリーズ」の2系統でGPU製品を展開しています。
また、この7月にはGeForce RTX 2060/2070/2080のスペックを更新する「RTX SUPER」が発表され、同製品群の登場によりGeForce RTX 2070/2080については今後終息していくことになります。
NVIDIA製GPUのポイントは、DXR(DirectX Raytracing)によるリアルタイムレイトレーシングを実用可能とするRTコアを備えたGeForce RTX 20 シリーズの存在です。同シリーズではTensorコアを使ったアンチエイリアシング処理である「DLSS」もサポートしており、最先端のグラフィックスを楽しめる製品となっています。
新設計の7nm世代のGPUを投入したAMD
AMDは長らく14nm世代のRadeon RX 500シリーズとRadeon RX Vegaシリーズを主力としてきましたが、7月に内部設計をGCNからRDNAに一新したアーキテクチャ「Navi」を採用した7nm世代のGPU「Radeon RX 5700 シリーズ」を投入しました。
従来のハイエンドGPUに比べコアの規模は縮小しているものの、上位モデルのRadeon RX 5700 XTはRadeon RX Vega 64を上回り、Radeon VIIに迫るゲーミング性能を備えながら、大幅な消費電力削減を実現しています。
AMDのGPU製品ラインナップで最も注目すべきGPUはRadeon RX 5700 シリーズです。長らくNVIDIA製品に対して劣勢だった電力効率の差を大きく縮め、性能面でもGeForce RTX 2060シリーズと勝負ができるレベルに達しています。
ゲーミングシーンでは依然としてNVIDIAが優勢
NVIDIAのGeForce RTX 2060 シリーズの対抗馬としてふさわしい性能を備えたAMDがRadeon RX 5700 シリーズが投入されたことで、AMDがNVIDIAとの差を大きく縮めた印象はあります。
ただ、依然としてAMDにはGeForce RTX 2070 SUPER以上のラインナップへの対抗馬が存在せず、GeForce RTX 20 シリーズがRTコアの搭載で実現したリアルタイムレイトレーシング性能については、最新のRadeon RX 5700 シリーズも備えていません。
このため、グラフィックスの美しさやハイパフォーマンスを求めるゲーマーにとっては、NVIDIAのGeForce RTX 20 シリーズが有力な選択肢となるでしょう。
一方、ミドルレンジ以下のGPUについては、安価に販売されているRadeon RX 500 シリーズがコストパフォーマンスで一定の価値を提供しています。
消費電力でGeForce GTX 16 シリーズとの間に大きな差があるものの、実際に電気代でコストを回収するまでにかかる時間を考えれば、Radeon RX 500 シリーズのコストパフォーマンスの高さには十分な魅力があると言えるでしょう。