自作PCの知識

PCの冷却強化 ~ ケースファンを追加しよう

 気温の上昇に伴って室温も上がりがちな夏場は、複数の発熱源を抱えるPCにとって厳しい季節です。PCが夏を乗り切れるよう、ケース内環境をファンの追加で改善してみましょう。

エアフローを意識してファンを追加しよう

 PCケースのほとんどは、ケース内を換気するための通気口を備えており、タワー型PCケースであれば冷却ファンを搭載可能なファンステイ付きの通気口が複数用意されています。ケースファンを追加する場合、ファンステイ付きの通気口を利用することになります。

 ケースファンは取り付け方向によって、ケース内に空気を取り込む「吸気」と、ケース内の空気を外に排出する「排気」を選択することが可能で、この吸気と排気のバランスや配置によって、ケース内の換気効率が変わってきます。
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▲CorsairのPCケースのページより

 効率的な換気を実現するにあたって意識したいのが、吸気ファンと排気ファンの間に生じる空気の流れ「エアフロー」です。ファン1基では周囲の空気を吸い込んで吐き出すだけですが、吸気と排気のペアでファンを設置すると、ケース内には吸気ファンから排気ファンへと至る風の流れが生じます。この流れにCPUやGPUから生じる熱を上手く巻き込めれば、ケース内温度を効果的に下げることができます。

 現在のタワー型ケースでは、フロントやボトムから吸気し、リアやトップから排気するというエアフローを構築しやすいように、通気口やファンステイが設けられています。

 ケースの設計に沿ってエアフローを構築するのが効率的ですが、エアフローを意識してケースファンを配置すれば、真逆の配置でも冷却することは可能ですので、お使いのパーツ構成にとって最適なエアフローを想像しながらファンを配置してみましょう。

「正圧」と「負圧」とは?

 ケース内の換気を考える際、エアフローと並んで重要なのが「正圧」と「負圧」です。これは、ケース外の気圧に対して、ケース内の気圧の高さを表す言葉で、ケース内の方が気圧が高い状態が「正圧」で、ケース内の方が気圧が低い状態が「負圧」です。

 空気は気圧の高い方から低い方へと流れ込みます。ケース内外の気圧差を作り出すのはケースファンで、吸気ファンのみを搭載したケースは「正圧」となり、ケースの通気口や隙間からケース内の空気がケース外に排出されます。逆に、排気ファンのみを搭載したケースは「負圧」となり、通気口や隙間からケース外の空気がケース内に流入します。

 実際の環境では、ケースに取り付けたケースファンの吸気量と排気量の合計で吸気が大きければ正圧、排気量が大きければ「負圧」となります。

 正圧であれば、ケース内に流入する空気は原則として吸気ファンを通るもののみとなるので、吸気ファンに防塵フィルターを装備することで、ケース内へのほこりの侵入を抑えることが可能です。

 一方、負圧は通気口や隙間からほこりが流入することがありますが、正圧よりもケース内の換気能力は高くなる傾向がありますので冷却面でやや有利となります。ただし、ヒートシンクなどへのほこりの付着は冷却性能を引き下げるため、冷却性能を維持するための掃除やメンテナンスの手間は増加します。

 正圧と負圧に関しては、どちらかに極端に振るより吸排気ファンのスペックや台数、回転数制御などを通して調整するとよいでしょう。

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