今回は、CPUクーラーの一種である「オールインワン水冷クーラー」のメリットとデメリットをご紹介いたします。
手軽に高い冷却性能が得られるオールインワン水冷クーラー
オールインワン水冷クーラーとは、水冷ヘッド、ポンプ、ラジエーターを一体化し、冷却水(クーラント)を充填した状態で販売されている水冷ユニットです。
2020年現在、複数のメーカーから様々なラジエーターサイズのオールインワン水冷クーラーが販売されており、PCケースもこれらの水冷ユニットを利用することを前提に搭載スペースを確保した製品が登場しています。
オールインワン水冷クーラーのメリットは、PC向けの水冷パーツと違って組み立て不要で簡単に利用できる点や、240mmサイズ以上のラジエーターを備えた製品の多くがハイエンド空冷CPUクーラーを凌ぐ冷却性能を備えている点にあります。
個別販売されているパーツを使った水冷環境の構築には、専門的な知識や構築のための時間が必要ですが、オールインワン水冷クーラーは一般的なCPUクーラーと同じようにCPUに搭載し、ラジエーターをケースに設置するだけで利用可能ですので、CPUを手軽にしっかり冷やすことができます。
冷却水の揮発やポンプ故障が製品寿命に直結
一方、オールインワン水冷クーラーのデメリットと言えるのが、原則として冷却水の充填やポンプの交換といったメンテナンスが行えない点です。このため、数年単位での利用による冷却水の揮発やポンプの故障が製品寿命に直結しています。
また、多くのオールインワン水冷クーラーは、CPUに取り付けるヘッド部分に冷却ファンを備えないため、CPUソケット周辺に配置された電源回路を冷却するエアフローを作り出すことができません。高発熱なCPUにオールインワン水冷クーラーを使う場合、電源回路の発熱対策は別途考える必要があります。
数年単位の寿命を備えるオールインワン水冷クーラー
冷却水やポンプという寿命に関わる要素をクーラー本体に備えるオールインワン水冷クーラーですが、多くの製品は数年単位の寿命を備えています。突発的な故障は別として、PCを買い替えるまでに水冷クーラーの寿命が尽きることは稀でしょう。
オールインワン水冷クーラーが実現する高い冷却性能と取り付けの手軽さは他に代えがたいものですので、ハイスペックなCPUを搭載したPCの構築をお考えの方は、PCケース側の対応ラジエーターサイズを確認した上で、組み込み可能なオールインワン水冷クーラーを探してみると良いでしょう。