自作PCの知識

暑さによるPCトラブルの解決方法

 CPUやGPUを安定して動作させるために冷却を必要とするPCにとって、気温が上昇する夏は熱によるトラブルが起こりやすい季節です。今回は、暑さによるトラブルへの対処方法をご紹介いたします。

性能低下や故障の原因にもなる高温動作

 PC内の発熱源であるCPUやGPUには、十分な冷却が行われない場合のセーフティーとして、動作クロックを引き下げて発熱を減少させたり、よりクリティカルな状況では強制シャットダウンする機能が備わっています。

 これにより冷却不足が故障に直結するのを防いでいますが、不十分な冷却は性能低下を招きますし、突然電源が落ちる不安定なPCはまともに使えません。また、これらの保護機能も絶対ではないので、故障が生じるリスクはゼロにはなりません。

 まずは、現状で冷却の問題が生じていないかをHWiNFOやGPU-Zなどのモニタリングソフトで確認してみましょう。最近のモニタリングソフトは、温度上昇に対する保護機能である「サーマルスロットリング(Thermal Throttling)」が作動していないかを確認できる場合もあるので、CPUやGPUの温度が高い場合は要注目です。

▼HWiNFO64のSenserウインドウによって温度が確認できる

HWiNFO_temp_senser

冷却不足の原因を調べる方法

 モニタリングソフトで確認した結果、CPUやGPUの温度が高すぎるという場合は、冷却不足への対策を行うことになります。このさい、重要なのが冷却不足の原因を知ることです。

 冷却不足が生じる原因は大きく分けると二つで、ひとつは「冷却装置の周辺温度が高い場合」で、もうひとつは「冷却装置の能力不足」です。

 どちらが原因であるのかを確かめる方法としては、PCケースの側面パネルなどを取り外した状態で、PCを動作させます。これでCPUやGPUの温度が大幅に低下するようであれば、「冷却装置の周辺温度が高い場合」であり、低下しないのであれば「冷却装置の能力不足」ということになります。

 なお、上記はPC本体に冷却不足の原因があることを前提としています。当然ながら、PCを設置している部屋自体の室温が高すぎると対処しきれないため、電子機器を稼働させる部屋の温度は高くても35℃を超えないようにしましょう。

冷却機器の周辺温度が高い場合への対処

 冷却機器の周辺温度が高い場合とは、PCケース内の温度が高いということであり、これはケースの換気能力が不足していることを意味します。

 対処方法としては、ケースに搭載している冷却ファンの交換や増設、回転数の引き上げなどにより、ケースの換気能力を高めるほか、より大型で換気能力の高いPCケースに交換するなどがあります。

 体積が小さい小型ケースは、ケース内の空気の量が少ない(=熱容量が小さい)ため内部温度が上昇しやすく、搭載可能なファンの数も少ないため、換気能力不足による熱トラブルが起こりやすくなっています。ハイエンドパーツを小型ケースに組み込むさいは、十分に注意しましょう。

冷却装置の能力不足への対処

 冷却装置の能力が不足している場合、冷却装置であるCPUクーラーやGPUクーラーの冷却能力を引き上げる必要があるのですが、まずは取り付けやケーブルの接続忘れが無いかなど、冷却装置が正しくセットアップされているのかを確認しておきましょう。

 正常にセットアップされた冷却装置で冷却不足が生じている場合、冷却装置自体を高性能なものに交換したり、ファンの交換や回転数の引き上げで冷却能力を高めることになります。

 CPUであれば、CPUクーラーの交換による冷却能力の強化も容易いですが、GPUの場合はクーラーの交換によってグラフィックカードの保証が失効する場合があるため、慎重に対策を検討する必要があります。

 GPUクーラーの冷却能力が不足している場合、初期不良の可能性や、ファン回転数の引き上げで対処できないかを確認したうえで、それでも不満がある場合はグラフィックカード自体の買い替えも選択肢に入れましょう。

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