パーツの選び方 メモリの知識

DDR4-4000 Gear1 vs DDR4-4600 Gear2 どちらがいい?

先日、DDR4-4000をGear1設定で動作させる方法、またDDR4-4600での動作を紹介しました。

Z690/B660/H670のDDR4マザーでGear1の範囲でのメモリを使うか、Gear2でハイクロックを使うかでどれくらいパフォーマンスの違いがあるのか気になるところです。設定方法、どのクロックまでGear1で動くかなどは上記記事を参考にしてください。

以下の4パターンで比較してみました。Alder Lakeの標準的なメモリクロックDDR4-3200より高いクロックでのテストです。

1. DDR4-3600 CL18-22-22-42 (Gear1)
2. DDR4-4000 CL18-22-22-42 (Gear1)
3. DDR4-4000 CL18-22-22-42 (Gear2)
4. DDR4-4600 CL20-30-30-50 (Gear2)

2022-04-04 17.30.00
【テスト環境】

マザーボード:ASUS B660M-A D4(BIOS:1203)
CPU:Intel Core i5-12600K

メモリ:G.Skill F4-4600C20D-32GTZR(DDR4-4600 16GBx2)

※メモリは同じものを使用し、メモリクロック、タイミングを手動で変更して比較しています

使用したベンチマークソフトは以下です。

・Sisoftware Sandra Lite 31.81
 メモリ帯域、メモリレイテンシ、グラフィックメモリ帯域
・Cinebench R23

・ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレベンチマーク

●メモリ帯域
メモリ帯域グラフ
これはメモリクロックがほぼそのまま反映されるので、DDR4-4600が良い数値を示しています。DDR4-4000はGear2だと少し低い数値となっています。メモリコントローラーのクロックが半分になったことが影響していることがわかります。

●メモリレイテンシ
メモリレイテンシグラフ
DDR4-4000 Gear1が最も良い結果となっています。DDR4-4000 Gear2ではGear1と比較して遅くなっているのがわかります。DDR4-4600 Gear2はクロック分、DDR4-4000 Gear2よりはいい数値となっていますが、DDR4-3600 Gear1よりレイテンシは遅い結果となっています。

Sandraのメモリ帯域、レイテンシの結果はそのままPCのパフォーマンスの値ではなく、アプリによって、帯域、レイテンシの影響度が変わってきます。

●グラフィックメモリ帯域
グラフィックメモリ帯域グラフ
CPU内蔵グラフィックスにおけるグラフィックメモリの帯域もメインメモリの設定に影響しています。やはりDDR4-4000 Gear1が高い数値をマークしています。

●Cinebench R23
CinebenchR23グラフ
数値は3回の平均を取っています。メモリ性能はあまり反映されないベンチで、誤差範囲とも考えられますが、DDR4-4000 Gear1が一番良い結果となっています。

●ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレベンチマーク

FFXIVグラフ

数値は3回の平均を取っています。FF XIVベンチはDDR4-4000 Gear1が一番高い数値ですが、DDR4-4600 Gear2も良いスコアでした。比較的メモリの高クロックが利いているベンチマークといえます。

DDR4-4000 Gear1がベストだが、設定、動作の問題も

メモリ帯域を除き、DDR4-4000 Gear1が一番良い結果となっています。

DDR4-4600はメモリクロックが高いものの、Gear2によりメモリコントローラーのクロックが半分になるため、パフォーマンスに影響がでているのがわかります。またDDR4-4000のほうがメモリタイミングが詰められるというのも、DDR4-4000 Gear1の好結果を生んている要因でもあります。今回は互換性も考慮しているためCL18でのテストでしたが、さらにタイミングを低くしたDDR4-4000のローレイテンシ運用が最もパフォーマンスを上げられる設定となるでしょう。

今回のベンチ以外でメモリ帯域が活かせるアプリであれば、DDR4-4600オーバーのメモリにも分があることもあるかもしれませんが、Gear2の影響があるため、ハイクロックの優位性が出にくい結果となっています。

どのメモリを選べばいいのか?

それぞれ一長一短があり、個人が何を重視するかによってメモリ選びは変わってくると思います。

●DDR4-3600
設定なしでGear1モードで起動するメモリクロックです。今回の比較のなかでパフォーマンスは決して良いとは言えませんでしたが、DDR4-4000、DDR4-4600と大差あったとは言えません。価格も落ち着いているので、一番手軽に使えるメモリです。
G.SkillのQVLではまだ一部マザーボードしかDDR4-3600製品が登録されていないため、安定動作には若干の不安もあります。Z690マザーのみ掲載されていることもあるので、G.SkillページのQVLを確認されることをおすすめします。以下の製品は比較的動作範囲が広い製品です。

G.Skill F4-3600C18D-32GVK (DDR4-3600 CL18 16GB×2)

●DDR4-4000
少しでもパフォーマンスアップを期待するなら、DDR4-4000でGear1設定しての使用がベストです。ただし、Gear1の設定を行なわなければいけないことと、DDR4-4000のGear1は必ずしも安定
動作するとは限らないため、リスクはあります。DDR4-4000動作が難しいようならクロックを少し落とすなど工夫して使う必要があります。メモリをしっかりと設定して使いたい人向けです。

●DDR4-4600
今回比較した中でメモリクロックは一番高いものの、Gear2動作となるため、多くのシーンでパフォーマンスはDDR4-4000 Gear1より劣ります。Gearモードについては気にしなくてもいいので、設定については問題がありませんが、DDR4-4600の安定動作はマザーボードを選ぶこともあり、事前の情報収集が必要です。DDR4-4600オーバーを選ぶのは、パフォーマンスより高クロックで動作させている満足感という部分もあるかもしれません。また、価格面は他のメモリよりマイナスポイントとなります。

今回、16GB×2を中心に紹介していますが、1枚32GBのDDR4メモリ(例えば32GB×2、32GB×4の製品)は現状Alder Lakeでのハイクロック動作がなかなか厳しい状況です。その点も踏まえ、メモリ選びをされることをおすすめします。

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※こちらに紹介したメモリでもマザーやBIOSバージョンにより安定動作しない場合がありますので、心配な方はメモリ交換保証を併せてご検討ください。

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