Intelから、第12世代Core(Alder Lake-S)の新たな最上位モデル「Core i9-12900KS」が登場しました。今回は、このCPUを冷却するのに必要なCPUクーラーがどのようなものなのか紹介いたします。
PBP150W、MTP241WのCore i9-12900KS
Core i9-12900KSは、定格時の最大消費電力であるPBPが150W、ブースト動作時の最大消費電力指標のMTPが241Wに設定されているCPUで、対応ソケットはLGA1700です。
このスペックから、Core i9-12900KSに最低限必要なCPUクーラーの要件は、150W級の発熱に対処できるLGA1700対応CPUクーラーということになります。これを満たせば、Core i9-12900KSをベースクロックである「Pコア=3.4GHz、Eコア=2.5GHz」で動作させることが可能となり、過昇温による故障を防ぐためのサーマルスロットリングの作動を防ぐことができます。
この最低限の要件であれば、120mmファンを搭載する空冷サイドフローCPUクーラーの多くが満たすことができるでしょう。
ただ、Core i9-12900KSに期待されているのはブースト動作を含めたさいの動作でしょうから、最大限のブースト動作を実現したいのであれば、MTP値である241W以上の冷却性能をもったCPUクーラーが必要となります。
最上級のAIO水冷でも241W超の発熱に対応するのは困難
Core i9-12900KSの標準的なブースト動作が有効になっている状態では、マザーボードやCPUの個体にもよりますが、CINEBENCH R23級のCPU負荷でも230W以上の電力を消費しているようです。
そのような状況でサーマルスロットリングの作動を防ぐためには、やはり241W級の発熱に対処できるCPUクーラーが必要となるのですが、現状最高クラスの冷却性能を持つ360mmラジエーター搭載オールインワン水冷でようやく冷やせるかどうかと言ったレベルです。
Core i9-12900KSには、標準では有効化されていないブースト機能として「Adaptive Boost Technology」に対応しています。この機能を用いればさらに消費電力(発熱)は増加しますし、多くの高性能マザーボードは電力リミットをMTP値ではなく無制限に設定しているため、そうなると360mm水冷でも冷やしきることは難しいでしょう。
もっとも、全コアをフル稼働するような状況ではそのように大きな発熱が生じるものの、一般的なゲームやアプリケーションの実行中にそのような状況に達することはそれほど多くありません。
より多くの場面でCore i9-12900KSの性能を引き出すためには360mm水冷クラスのCPUクーラーを選ぶことをおすすめしますが、極端な高負荷時にサーマルスロットリングが発動してもブースト動作が緩められるだけですので、Core i9-12900KSのようなCPUを使う場合、ブースト動作中に温度リミットに到達することをある程度容認することも必要となるでしょう。