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LGA1700の「反り問題」と「反り対策フレーム」とは

 本日は、Alder Lake-Sこと第12世代Coreで話題になっている「LGA1700の反り問題」と、その対策パーツである「反り対策フレーム」について紹介いたします。

LGA1700ソケット固定時にヒートスプレッダが歪む「反り問題」

 LGA1700の反り問題とは、第12世代Core向けのCPUソケットであるLGA1700で生じている問題で、CPUをソケットに固定するとCPUのヒートスプレッダが凹面状に変形するというものです。これによってヒートスプレッダとCPUクーラー間の熱伝導効率が悪化する場合があります。

 LGA1700ソケットは従来のLGA系ソケットと同様、CPUのヒートスプレッダを金具で押し込むことで固定する仕様ですが、長方形状に大型化したLGA1700対応CPUの長辺側の中央2点を押し込むため、CPUが凹面状に反りかえるように歪みます。

 このような変形は従来のLGA系ソケットのCPUでも生じるものですが、長辺方向に大型化したLGA1700対応CPUでは端部と中央部の高低差が大きくなっています。この状態でベース面が平面に近いCPUクーラーを取り付けた場合、ヒートスプレッダ端部とクーラーのベース面は接するものの、CPUダイが配置されている中央部との隙間が大きくなるため、熱伝導効率が悪化してCPUクーラーの冷却性能を十分に発揮できず、CPU温度が高くなる場合があります。

面や多点でCPUを押さえて反り問題を軽減する「反り対策フレーム」

 LGA1700の反り問題に対処するためのパーツとして、LGA1700ソケットの固定金具を交換する「反り対策フレーム」が、ThermalrightやThermal Grizzlyなど複数のメーカーから発売されています。
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▲Thermalright LGA1700-BCF

 LGA1700の反り問題は、LGA1700ソケット標準の固定金具がCPUのヒートスプレッダ中央部を押し込んで固定することによって発生しているので、反り対策フレームはヒートスプレッダの中央部だけでなく外周部の全面や複数の点を押し込むことによって、CPUが反りかえるように歪むことを防ぐものです。

 これらのパーツについては、ソケット標準の固定金具を交換して取り付けるという性質上、「正常な使用状態での使用」に反するものと解釈される場合があり、利用して故障した場合はCPUやマザーボードの製品保証が受けられない可能性があります。

反り対策フレームの効果はCPUクーラー次第、自己責任が伴う上級者向けアイテム

 IntelはLGA1700ソケットの反り問題とされる変形について製品仕様の範囲内であるとしており、ユーザーが独自にこれを解消しようとする試みは製品保証を失う可能性があるとしています。

 また、反り対策フレームが最大の効果を発揮するのは、ベース面が平面に近い形状のCPUクーラーと組み合わせた時で、ホットスポットとの密着性を重視して凸面状に加工されたベース面を持つオールインワン水冷や空冷クーラーなどとの組み合わせでは効果が薄い場合もあります。

 反り対策フレームは自己責任のもとに使用しなければならない上級者向けのパーツです。熱伝導効率の改善効果がCPUクーラーとの相性次第である点や、製品保証を失うリスクなどをよく検討したうえでご利用ください。

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