自作PCの知識

M.2、2.5インチ、SATA……SSD用語と種類についてを解説

 自作PC用ストレージとして主流になったSSDには数多くの製品が存在しています。これらの製品を調べてみると「M.2」「NVMe」「SATA」「2.5インチ」など、その製品を表す多くの語句を見かけることになるでしょう。

 今回はSSD製品の仕様として用いられるこれらの語句と、それが意味することを紹介いたします。

混同しがちな「フォームファクター」「インターフェイス」「通信プロトコル」

 SSD製品を知る上でまず知っておきたいのが、製品仕様における3つの要素「フォームファクター」「インターフェイス」「通信プロトコル」です。これらは混同してしまうことが多いのですが、それぞれが全く異なる仕様を示すものです。

 例えば、SSD製品を表現するときに「M.2 SSD」「SATA SSD」「NVMe SSD」のように表記されることがありますが、これらはそれぞれ「フォームファクターがM.2のSSD」、「インターフェイスがSATAのSSD」、「通信プロトコルがNVMeのSSD」という意味であり、いずれもSSDの製品仕様における別の要素に注目した表現となっています。

 SSD製品の仕様において、フォームファクターは「コネクタやSSD本体形状の規格」、インターフェイスは「SSDとPCを接続するインターフェイス規格」、通信プロトコルは「SSDとホストコントローラ間の通信規格」を意味しています。代表的な語句を3要素に分類すると以下の表のようになります。

SSD factor

SSDの物理的な大きさやコネクタの種類が決まる「フォームファクター」

 フォームファクターの代表例として取り上げた「M.2」「2.5インチ」「HHHL」は、いずれもSSDの形状を示す仕様です。M.2であればM.2スロットに搭載する形状、2.5インチは2.5インチベイ向けの形状、HHHLはPCIe拡張カード規格である「Half-Height Half-Length」形状であることを示しています。

 SSDをPCに接続するためには、PC側のスロットとSSDのフォームファクターが合致している必要があるため、フォームファクターはSSDの購入時に特に注意して選択しなければならない要素のひとつです。

 注意点としては、「M.2」や「2.5インチ」という括りの中でも大きさやコネクタの規格が異なるものがある点です。M.2規格であれば、M.2スロットと接続する端子形状の「Key」や、M.2カード(SSD)の長さ(2280や2242など)という要素があり、これらもPC側とSSD側で合致させる必要があります。

 M.2に関しては、多くのPCとSSDが「M Key」かつ「2280」サイズを採用しているため問題は起こりにくいのですが、冷却用にヒートシンクを搭載している製品は物理的な干渉が生じる場合がありますし、2.5インチ規格の製品も厚みやコネクタ規格が異なる場合(SATAまたはU.2)などがあります。

SSDの速度に大きく影響することもある「インターフェイス」

 SSDの仕様におけるインターフェイスとは、主にSSDとPCを接続する際に用いる通信インターフェイスの規格で、代表的なものに「PCIe」や「SATA」があります。

 基本的に、これらのインターフェイス規格は通信速度に関わる仕様とセットで表記されています。PCIeであればPCIeの世代やレーン数を組み合わせた「PCIe 4.0 x4(PCIe 4.0の4レーン接続)」のように表記され、SATAであれば通信速度や世代と組み合わせて「6Gbps SATA」や「SATA III」と表記されます。

 インターフェイスについてもSSDとPC側で同一規格であることが求められますが、PCIeやSATAはそれぞれ同一規格内での互換性を有しているため、PCIe 4.0 SSDをPCIe 3.0対応スロットに搭載したり、6Gbps SATA対応SSDを3Gbps対応SATAポートに接続することは可能です。

 ただし、このような接続では速度の遅い方の規格で通信が行われるため、PC側が古い世代の場合はSSDの性能を十分に発揮できない場合があります。

現行のSSD、PC、OSの組み合わせなら問題になることは少ない「通信プロトコル」

 通信プロトコルは、SSDとそれをコントロールするホスト側がインターフェイスを通じてアクセスするための通信規格です。代表的なものとして、高速なSSDに用いられる「NVMe」や、HDDやSATA SSDに用いられる「AHCI」があります。

 PCでSSDを利用するためには、通信プロトコルと合致するデバイスドライバが必要ですが、現行のWindows 10やWindows 11にはNVMeやAHCIに対応するデバイスドライバが標準で組み込まれているため、通信プロトコルの違いを意識することなく利用できます。

 ただし、NVMe SSD用のドライバを備えていないOSでは、NVMeドライバを導入するまでSSDを認識できない場合があります。また、UEFI黎明期やUEFI非対応のBIOSを搭載する古いマザーボードでは、NVMe SSDをブートドライブとして認識できないなどの問題が生じることがあります。

3要素の中でも「フォームファクター」と「インターフェイス」は最重要

 今回紹介した3要素は、いずれもSSDの製品仕様を示す重要な要素ではありますが、通信プロトコルは他の2要素を押さえたうえで、現行のOSやPCと組み合わせる分には問題になることはほとんどありません。

 SSD製品選びでにおいては、「フォームファクター」と「インターフェイス」がもっとも重要な要素となっており、これらの要素を混同することなく、両要素がSSD側とPC側で合致することを確認しましょう。

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