AMDとNVIDIAの新世代GPUが登場し、従来のGPUを搭載するビデオカードの価格も一時期より落ち着いたことで、ビデオカードのアップグレードを適期が到来しています。今回は、ビデオカードをアップグレードする際にチェックすべきポイントをご紹介いたします。
物理的に搭載可能なのかマザーボードとケースをチェック
ビデオカードを増設する際にまずチェックしたいのは、購入予定のビデオカードがお使いのマザーボードやケースに搭載可能な大きさであるのかという点です。
近年のビデオカードは発熱の増加や静粛性を高める目的で大型のGPUクーラーを搭載した製品が多数登場しており、カード長が300mmを超える製品や、占有スロット数が3スロットを超える製品も珍しくなくなりました。
▲上位GPUは物理的に大きく占用スロット数も多い(GeForce RTX 4090)
占有スロット数というのは、ビデオカードを搭載すると使用できなくなる拡張スロット数のことです。ビデオカードを搭載するPCI Expressスロットを1と数えるので、占有スロットが3スロットであれば、隣接する拡張スロットが2つ利用できなくなります。新たに購入するビデオカードの占有スロット数の分だけ、空きスペースがあることを確認しておく必要があります。
カード長はそのままカードの長さのことで、ケースがカードを搭載するのに十分なスペースがあることを確認しなければなりません。また、最新GPUであるGeForce RTX 40シリーズを搭載するビデオカードはカードの高さが従来よりも高くなっている製品が多くあります。ほとんどのビデオカードは電源コネクタをカードの上部に配置しているため、配線スペースの確保を考えると数センチ程度の余裕は確保したいところです。
カード長についてはケースのスペックに最大対応長さが記載されている場合がありますが、高さについては明確な記載はありません。ケースの幅や対応CPUクーラー高さなどのスペックと、ビデオカードの高さや電源コネクタの位置などを確認して、搭載できるか否かを慎重に判断しましょう。
電源ユニットの容量と補助電源コネクタをチェック
ビデオカードが搭載するGPUは大電力を消費するため、ミドルレンジ以上の製品は補助電源コネクタの接続が必要となります。このため、お使いの電源ユニットが新たに購入するビデオカードに電力を供給できるものであるのかを確認しなければなりません。
まず確認すべきなのは、電源ユニットがビデオカードの動作に必要な補助電源コネクタを備えているのかです。多くのビデオカードはPCIe 8ピンまたはPCIe 6ピンコネクタを1~3本程度備えており、原則として全てのコネクタを電源ユニットと接続する必要があります。電源ユニットがビデオカードが必要とするコネクタを備えていない場合は、原則として電源ユニットを買い替えるべきです。
なお、GeForce RTX 40シリーズなどでは新規格の12VHPWRを備えているものがありますが、これらのビデオカードには複数のPCIe 8ピンを使用して12VHPWRに変換するアダプタが同梱されているので、アダプタが要求する数のPCIe 8ピンコネクタがあれば、12VHPWR対応電源ユニットでなくても使用できます。
コネクタの次に確認すべきなのが電源ユニットの電源容量です。ビデオカードを含めたシステム全体の消費電力に対して電源容量が不足してしまうと動作不良の原因となるため、消費電力を確実に上回る電源容量を確保する必要があります。
ビデオカードの製品仕様には推奨電源容量が記載されているので、電源ユニットの容量がそれ以上であるか否かが、電源ユニットの買い替えを判断する基準となります。
拡張スロットとバスインターフェイスの仕様
ビデオカードのほとんどは、カードを搭載するのに利用する拡張スロットにPCI Express x16スロットを採用しています。このスロットは10年以上前から物理的な互換性が保たれているので、拡張スロットの規格がビデオカード更新の障害になることはほとんどないでしょう。
PCI Express x16スロットでは、電気的なインターフェイスも同名のPCI Expressを採用しています。PCI ExpressにはGen 1.1からGen 5.0までの世代がありますが、この世代間にも互換性があるのでビデオカードかマザーボードのいずれか古い方の世代の速度で接続されます。ビデオカードが対応する世代より古い接続をした場合、それが性能のボトルネックとなる可能性があるのでご注意ください。