空冷CPUクーラーは、3,000円前後の製品から10,000円を超える製品まで、 幅広い価格帯で製品が展開されています。冷却性能や特色は各製品ごとに異なりますが、今回は販売価格6,000円以下のミドルレンジ製品と、10,000円前後のハイエンド製品にざっくり分類して、その違いを紹介します。
●安価なCPUクーラーでも120mmファン搭載製品ならリテールクーラー以上
CPUクーラーの価格を見たとき、安価な製品であれば「これで本当に冷やせるのか」と不安になられるかもしれません。
確かに冷却性能は製品毎に異なりますが、120mm以上の冷却ファンを搭載した製品であれば、CPUクーラーがサポートするCPUソケットのリテールクーラーよりも高い冷却性能が得られます。冷却性能が高ければ、その分ファンの回転数を落とせるため、マザーボード側でファンの回転数をコントロールすれば、静音性の面でもリテールクーラー以上の働きが期待できます。
●ハイエンド製品は見栄えや付属品の質の高さがポイント
10,000円を超えるようなハイエンドCPUクーラーの場合、大型かつコストを掛けて製造されたヒートシンクにより、高い冷却性能を備えていることはもちろんですが、リテンションキットなどの付属品の品質や、CPUクーラー全体のデザイン性など、冷却性能に直接関係のない部分にもコストが掛けられています。
最近のハイエンドCPUクーラーでは、付属する冷却ファンの質にこだわっている製品も多く、単品で買うと安価なCPUクーラーが買えてしまうくらいのファンが付属している製品も少なくありません。
●定格で運用するなら安価なCPUクーラーでも十分、OCするなら空冷ハイエンド
CPUクーラーを購入する動機は、リテールクーラーの冷却性能や動作音に不満があるか、Intel Core i7-6700KやLGA2011-v3用CPUのようにリテールクーラーが付属していないからという方が多いかと思われます。
CPUをオーバークロックしない条件で、リテールクーラーからの改善や、クーラーの付属しないCPUの冷却を望まれる場合は、ミドルレンジ製品を選ばれるのがお勧めです。
前述のとおり、空冷ミドルレンジ製品で冷却ファンに120mmファン以上の大口径ファンを採用した製品は、そのほとんどがリテールクーラーを超える性能を備えており、冷却性能の向上と静音性の向上を同時に実現できます。
また、定格で動作するCPUの発熱量程度では、空冷ミドルレンジと空冷ハイエンドの冷却能力の差はCPU温度差に反映されにくく、結果として空冷ハイエンドの費用対効果(CPU温度基準)はミドルレンジ空冷より劣ってしまいます。
一方、CPUをオーバークロックする場合、増加したCPUの発熱を十分に冷却できる性能が必要となります。このような場合、空冷ハイエンドの高い冷却能力が効果を発揮します。特にヒートシンクの仕様が豪華な空冷ハイエンドを選ぶと良いでしょう。
●ヒートシンクのスペックや冷却ファンの単体価格を考慮するとよりよい製品選びが可能
基本的には先に紹介した通り、定格で運用するなら費用対効果の観点からミドルレンジ、オーバークロックをするなら冷却能力の観点からハイエンド、という選び方をおすすめします。
ただ、ミドルレンジでもハイエンド製品並みの高い放熱能力を持つヒートシンクを採用した製品もあります。ハイエンド製品でも、ヒートシンクの冷却性能より冷却ファンの質にコストを掛けた静音重視の製品もあります。
自分が冷却性と静音性のどちらを求めているのかを明確にしたうえで、ヒートシンクのスペックや、付属する冷却ファンを単体で買った場合の価格などを計算すれば、より満足できるCPUクーラー選びができるでしょう。