Kaby Lake-S向けのCPUクーラーには、どのようなものが適しているのでしょうか。Intelの公式情報を参考にしながら、Kaby Lake-Sを動作させるために必要なCPUクーラーの性能について考えてみましょう。
●参照すべきは「TDP」ではなく「サーマル・ソリューション仕様」
Kaby Lake-Sをベースにしたデスクトップ向けCPUには、システムの冷却能力の目安となるTDP(熱設計電力)が32~91Wの範囲で複数用意されています。
以前は、このTDPを基準にCPUクーラーの冷却能力を確認するのが一般的でしたが、現在はIntelの公式情報サイト「ark.intel」にて、「サーマル・ソリューション仕様」という指標が公開されています。
ark.intel ― 開発コード名 Kaby Lake
サーマル・ソリューション仕様とは、その名の通りCPUクーラーの冷却能力に関する仕様で、CPUクーラーに求められる冷却能力が、Intelの仕様名とワット数で表されています。
現在、Kaby Lake-SベースにCPUに割り当てられているサーマル・ソリューション仕様は以下の3種類で、一部の例外を除いて、併記したTDPのCPUに割り当てられています。
・PCG 2015D (130W) … TDP 91W
・PCG 2015C (65W) … TDP 51~65W
・PCG 2015A (35W) … TDP 35W
上記の分類に当てはまらない製品として、TDP 91W Intel Core i5-7600Kに「PCG 2015C (65W)」、TDP 60WのIntel Core i3-7350Kに「PCG 2015D (130W)」が割り当てられていますが、前者は間違いなく誤表記ですが、後者は130W設定が正しい可能性もあります。
注意したいのは、TDP 91WでありながらCPUクーラーには130W級の冷却能力を要求うする製品が存在する点です。最上位のIntel Core i7-7700Kはこれに該当します。十全な冷却を行うためには、TDP 140WクラスのCPUを想定しているLGA2011-v3ソケットにも対応するマルチソケット対応CPUクーラーを選択するのが無難です。
TDP 51~65Wの製品についても、一部は製品のTDPより高い65Wの冷却能力を求められえる形になっていますが、これはIntelのサーマル・ソリューション仕様がそこまで細分化されていないためですが、65Wの発熱に対応するCPUクーラーを選択しておけば安心です。
全てのCPUクーラーが対応TDPを公開している訳ではありませんが、前述したようにLGA2011-v3ソケットのIntel Core i7に対応しているCPUであれば、最低でもTDP 140Wに対応しているので、「PCG 2015D (130W) 」を要求するCPUにも安心して使えます。
▲TDPを公開しているCRYORIG社のページより抜粋
大型のCPUクーラーを搭載できる環境であれば、冷却能力の高いCPUクーラーはいくらでも選択肢がありますが、Kaby Lake-SをベースにしたコンパクトPCを自作される場合には、各CPUのサーマル・ソリューション仕様を参考に、十分な冷却が可能なCPUクーラーを選びましょう。
□関連リンク
ARK | インテル 製品の仕様情報源
http://ark.intel.com/ja/