今回は、マザーボードが採用するフォームファクターがどのような用途に適しているのか、AMD製チップセット毎にチェックします。
各フォームファクターごとのPCケースについては以下をご覧ください。
→PCケースの選び方 ~PCケースの種類と特徴
●AMD X470 チップセット
Socket AM4向けチップセットの最上位製品です。第2世代Ryzenと同時に発表された新モデルで、新たなオーバークロック機能「Precision Boost Overdrive」や、ストレージ高速化技術のStoreMIをサポートしています。
ATX規格以上ではオーバークロックを意識した設計のマザーボードも多く、第2世代RyzenでサポートされたDDR4-2933に対応するため、メモリ周りの設計も強化されています。
▼ATX
・CPU内蔵PCIeレーンを使ってNVIDIA SLIを利用したい
・8コアCPUをオーバークロックして使いたい
・StoreMIを使ってストレージを高速化したい
・DDR4-2933以上の高クロックメモリを使いたい
▼Mini-ITX
・DDR4-2933以上の高クロックメモリを使いたい
・StoreMIを使ってストレージを高速化したい
・コンパクトなキューブPCケースを使いたい
●AMD X370 チップセット
Socket
AM4向けチップセットの上位モデルです。X470チップセットで採用されたStoreMIや第2世代Ryzen向けの「Precision
Boost Overdrive」には非対応ですが、CPU内蔵PCIeレーンの分割機能や、サポートするインターフェイスの数はX470と同等です。
ほとんどのマザーボードはATX以上かMini-ITXを採用しており、Micro ATX製品はごく僅かしか存在しません。
▼ATX
・CPU内蔵PCIeレーンを使ってNVIDIA SLIを利用したい
・8コアCPUをオーバークロックして使いたい
・高クロックメモリを使いたい
▼Micro ATX
・CPUをオーバークロックして使いたい
・高クロックメモリを使いたい
・スリムデスクトップケースを使いたい
▼Mini-ITX
・高クロックメモリを使いたい
・コンパクトなキューブPCケースを使いたい
●AMD B350 チップセット
Socket AM4向けチップセットの中でもエントリークラスのチップセットです。CPU内蔵PCIeレーンの分割に非対応で、サポートするインターフェイスも上位チップセットより少ないですが、1万円前後から選べるコストパフォーマンスが魅力です。
上位チップセット同様、CPUやメモリのオーバークロックが可能なチップセットですが、電源回路の設計などはオーバークロック向けでない製品が多いため、8コアクラスのCPUのオーバークロックには適しません。
▼ATX
・APUを使ったローコストPCを作りたい
・より低コストでシングルGPUゲーミングPCを作りたい
・タワー型PCケースを使った拡張性の高いPCを作りたい
▼Micro ATX
・APUを使ったローコストPCを作りたい
・より低コストでシングルGPUゲーミングPCを作りたい
・スリムデスクトップケースを使いたい
▼Mini-ITX
・APUを使ったローコストPCを作りたい
・より低コストでシングルGPUゲーミングPCを作りたい
・コンパクトなキューブPCケースを使いたい
●AMD A320 チップセット
Socket AM4向けのローエンドチップセットです。このチップセットではオーバークロック機能が制限されており、USB 3.1やSATAの本数もB350より少なくなっています。
現在販売中の製品はMicro ATXフォームファクターのみで、低コスト化のため基板面積を小さくするためにMicro ATXを選択した製品がほとんどです。
▼Micro ATX
・APUを使ったPCを作りたい
・スリムデスクトップケースを使いたい
・できる限りコストを抑えたい
●AMD X399 チップセット
AMDのハイエンドプラットフォームSocket TR4向けのチップセットです。8~16コアCPUのRyzen Threadripperに対応しており、同CPUが備える64レーンのPCIe 3.0を活かした拡張性の高さが魅力です。
多数のPCIeレーンによる拡張性を売りにするプラットフォームであることと、巨大なCPUソケットが基板上の部品実装可能エリアを限定する関係で、ほぼすべてのマザーボードがATX規格以上のサイズとなっており、一部のメーカーがMicro
ATX規格のマザーボードをリリースしています。
▼ATX
・12コア以上のCPUをオーバークロックしたい
・大容量メモリ(最大16GB×8枚)を使いたい
・オーバークロックメモリを使いたい
・CPUが備える多数のPCIe 3.0 レーンを活用したい
▼Micro ATX
・ミニタワーケースで12コア以上のCPUを利用したい
・オーバークロックメモリを使いたい
・CPUが備える多数のPCIe 3.0 レーンを活用したい